
川から流れてきたのは、かわいい女の子の赤ちゃんだった。「ペッシュ」と名付けられ、心優しい夫婦に大切に育てられたはずだったが、少々おてんばに成長。思春期ということも相まって、山で暴れまくっていた。この物語はそんなペッシュの冒険譚である。



本作『モモゼロ』はお気づきの通り、日本のおとぎ話『桃太郎』をモチーフとした物語だ。ペッシュの服装は少し奇抜で、高校の制服とルーズソックスを着崩したようなスタイル。手に持って食べているのは“生ドーナツ”だ。現代の女子高生を彷彿させる絵に戸惑いながらも読み進めると、ペッシュは無事にサルと出会う。「なんか食いモンねーか?」と要求され、ちょうど持っていた“チュロス”をあげる。喜んだサルはもっと欲しがるが、手持ちがなかったペッシュは「待って。家にいけばあるかも」と自宅へ連れていき、サルはここでやっとお決まりのきびだんごをゲットする。
■「生んだこともないクセにッ」反抗期女子が抱える孤独
作者のKYAN-DOGさんによると、「ペッシュ」「サンジュ(サル)」という名前はフランス語から取ったという。「キャラの見た目がそのまんまなので、ほかの言語でいい名前がないか探してみました。わりと音の響きで選びました」と語る。
作中でペッシュは両親に対し「父親ヅラして」「生んだこともないクセにッ」と暴言を吐き、反抗期真っ盛りだ。このセリフの意図について、KYAN-DOGさんは「主人公を『10代反抗期女子』というイメージで作ろうと思い立ったのがきっかけです。家族とうまくいってない孤独を感じる主人公像なんですね。桃太郎も拾われた子なので、もし反抗期ならそういうセリフも出るだろうと想像して描きました」と明かす。
■気になる今後の展開と作者の次なる挑戦
KYAN-DOGさんは、単行本『ぼくのキャノン』(著:池上永一)の装丁画などを手がけるなど、主にイラスト業で活動してきた。「これまでも気の迷いで衝動的に漫画を描くこともあるにはありましたが…」と本人は謙遜するが、本格的に漫画を描きはじめたのはここ1、2年のことだという。それにもかかわらず、2025年3月に『会話』という作品で「pixivマンガ月例賞」の優秀賞を受賞している実力派だ。
気になる『モモゼロ』の今後については、「ご想像通り、イヌとキジが出てくる予定です。ストーリーはほぼ決まっているのですが、ちょうどそのころ、ほかの作品づくりもあったので中断している状態です。そのうち機会があったら描くかもしれませんので、気長にお待ちください」とのこと。
「第3回ジャンプTOON AWARD タテマンガ新人大賞」にて佳作を受賞した同作は、「コックリさん」や「呪いのミイラ」などの都市伝説を題材に扱ったストーリー展開が魅力。気になる人はこちらもぜひ読んでみてほしい。
取材協力:KYAN-DOG
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