微熱や咳から始まり、次第に食欲不振や体調不良が続くようになったひろみさん(仮称)。精密検査で告げられたのは「全身性エリテマトーデス(SLE)」という難病でした。突然の入院、治療の副作用、生活の変化。不安に押しつぶされそうになりながらも、家族や仕事仲間、そして大好きな「嵐」の存在に支えられ、闘病を続けました。そんな彼女に、SLE発症から現在までの歩みについて話を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。
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体験者プロフィール:
ひろみ(仮称)
京都在住、1995年生まれ。両親と兄のもとで育ち、現在は一人暮らしをしている。マンションの管理会社で会計事務をしていたが、2020年にSLEを発症。一時退院を繰り返しながら、約3ヶ月の入院生活を送る。退院後、約1ヶ月で復職、2ヶ月後にはフルタイム勤務に。現在は寛解期であり、ステロイドと免疫抑制剤を服用しながら、月1回の通院をしつつ仕事に励んでいる。
記事監修医師:
副島 裕太郎(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
編集部
SLEが判明した経緯について教えてください。
ひろみさん
はじめは微熱と咳が見られました。咳は1ヶ月間ほど続いたのですが、季節の変わり目ということ、過去にも同じ時期に1ヶ月間咳が続いた経験があったことから、あまり気に留めていませんでした。
編集部
最初は意に介すこともなかったのですね。
ひろみさん
仕事が忙しい時期ということもあり、病院へ行かず過ごしていたんです。次第に咳は治まったのですが、今度は食欲不振になりました。お腹は減るけど食べられない、何も食べたくないという状態で、フルーツゼリーしか食べられない生活を送っていました。ご飯のにおいだけで吐き気がして、嘔吐することもありました。あと微熱が続き、口内炎ができたり、頬の肌が荒れたりもしました。喉にしこりも出来ていましたね。そんな日々が続き、さすがに病院を受診しようと思い、地元のかかりつけ医のもとへ。しかし原因はわからず、嘔吐も何度か繰り返すようになったんです。
編集部
そこからどうやって病気が発覚するのですか?
ひろみさん
別の病院も受診し、血液検査をしてもらいました。すると、医師から「大きい病院で詳しい検査をしたほうがいい」と言われ、指示に従って受診しました。そこで「恐らくSLEだろう」と仮診断を受けました。脱水症状があったので、その日から即日入院することになりましたね。
編集部
SLEが判明したときの心境を伺ってもよろしいでしょうか。
ひろみさん
血液検査の結果が悪かったと連絡を受けたときは、「もしかして私は死ぬのかな」と思いました。まさか自分が病気になるなんて、思ってもみなかったですね。涙が止まらなかったし、入院が決まってからは「仕事仲間に迷惑かけて申し訳ない」という気持ちでいっぱいでした。確定診断を受けてからは「これからどうしよう」と不安に襲われましたね。
編集部
SLEに対してどのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
ひろみさん
まず点滴でステロイドを投与し、そこから薬を服用する。そして免疫抑制剤を投与していくと説明を受けました。
編集部
セカンドオピニオンは受けましたか?
ひろみさん
確定診断を受けてからは、セカンドオピニオンは受けていません。本来なら診断に時間がかかるところ、すぐにSLEだろうと診断してくださり、医師を信頼していたのでセカンドオピニオンを受けようとは思いませんでした。
編集部
SLE発症後、生活にどのような変化がありましたか?
ひろみさん
私はSLEによって腎臓も悪くなっていたので、食事制限をすることになりました。今まで塩分など気にせず食事をしていましたが、意識するようになりましたね。ほかにも発疹ができやすくなったので、日焼け止めを塗る、日傘をさすなど、紫外線対策もしています。
編集部
薬の副作用などはありますか? 薬名と症状を教えてください。
ひろみさん
ステロイドは副作用がたくさんあります。今は服薬の量も減ってきているので副作用も少なくなりましたが、入院中はムーンフェイス(顔がまんまるになる)、アザになりやすいという症状がありました。セルセプトは下痢になっていました。また、エンドキサンという点滴治療を行ったときには、吐き気と脱毛がありましたね。
編集部
治療中の心の支えはなんでしたか?
ひろみさん
家族と仕事仲間、あと「嵐」です。やはり家族の存在は大きかったですね。コロナ禍に入院していたので、家族ですら面会には制限がありました。会えないぶん、電話をして話し相手になってくれたり、いろんな差し入れを持ってきてくれたり。そして仕事仲間。突然の入院で迷惑をかけたのに、優しい言葉をかけてくれました。早く戻りたいと、治療に励む力となりました。
編集部
嵐とは、アイドルグループの?
ひろみさん
ジャニーズの嵐です。私は嵐のファンで、入院してからもレギュラー番組は見ていました。でも、入院してからは、体調がすぐれないせいで違う曲に聴こえてしまい、嵐の歌を聞けない期間があったんです。それでも歌って踊る嵐を、久しぶりにテレビで見たとき、自然と涙が出てきました。曲と歌詞に救われる。「入院生活はしんどいけど頑張ろう」と思わせてくれました。
編集部
SLEの症状の改善、悪化を予防するために気をつけていることはありますか?
ひろみさん
定期的な通院と、薬を忘れず服用するように意識しています。あとは無理をしすぎない、塩分を控える、紫外線対策をする、など気をつけていますね。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
ひろみさん
現在は寛解期をむかえており、体調は良好です。入院前と同じような生活を送れています。月に1回の通院をしながらフルタイムで働いていますよ。
≪↓ 後編へ続く ↓≫
※この記事はメディカルドックにて『【体験談】「健診結果を軽視していなければ…」と難病発覚前を後悔《全身性エリテマトーデス》』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
→(後編)【闘病】全身性エリテマトーデスで大切なのは病気の早期発見
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