“朝の血圧”が高い人は危険?「クレアチニン」悪化の「原因」と対策【医師監修】

“朝の血圧”が高い人は危険?「クレアチニン」悪化の「原因」と対策【医師監修】

多発性嚢胞腎では、腎臓の血流調節にかかわるレニン・アンジオテンシン系が活性化されやすく、高血圧が生じやすい傾向があります。血圧のコントロールが不十分な状態が続くと、残っている正常な腎組織への負担が増し、クレアチニン値の上昇が加速する可能性があります。ACE阻害薬やARBといった降圧薬は血圧を下げるだけでなく腎臓保護効果も期待されています。また、一定の条件を満たす患者さんには嚢胞の増大を抑えるトルバプタンが保険適用で処方されることもあります。

浅川 貴介

監修医師:
浅川 貴介(医師)

【経歴】
2004年私立海城高等学校卒業
2010年私立東邦大学医学部卒業医師免許取得
2012年公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科
2018年医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医

多発性嚢胞腎(PKD)のリスクを高める要因と早期発見の重要性

多発性嚢胞腎の進行に影響を与える要因は、遺伝的な背景だけではありません。このセクションでは、腎機能の低下を速める可能性があるリスク要因と、早期発見・早期対応の重要性について解説します。

腎機能低下を速めるリスク要因

多発性嚢胞腎の患者さんにおいて、腎機能の低下を速める可能性があるとされている要因はいくつか知られています。

まず、高血圧は腎機能に悪影響を及ぼす代表的な要因です。多発性嚢胞腎では高血圧が生じやすいため、血圧の管理が腎機能を保護するうえで重要とされています。血圧のコントロールが不十分な状態が続くと、クレアチニン値の上昇が加速する可能性があります。

次に、たんぱく尿(尿にたんぱく質が漏れ出る状態)の存在も、腎機能の低下と関連があるとされています。たんぱく尿が持続している場合は、腎臓への負荷が高まっているサインとして医師が注意深く経過を見ていきます。

喫煙は腎臓の血流を悪化させるリスクがあり、多発性嚢胞腎の進行を速める要因のひとつとして挙げられることがあります。禁煙は腎機能を守るためにも、心血管疾患の予防のためにも、取り組む価値のある生活習慣の改善です。

そのほか、腎臓の嚢胞の総体積(総腎臓容量)が大きいほど腎機能低下のリスクが高いとされており、MRI検査などで嚢胞の大きさと数を定期的に確認することが、進行の評価に役立ちます。

早期発見・早期受診がなぜ重要か

多発性嚢胞腎は、腎機能がかなり低下するまで自覚症状が現れにくい疾患です。初期には腰痛・腹部の張り感・血尿・高血圧といった症状が現れることもありますが、無症状のまま経過することも少なくありません。

そのため、家族歴がある方や健康診断で腎臓の異常を指摘された方は、症状がなくても腎臓内科や内科への受診を検討することが大切です。超音波検査(エコー検査)は、身体への負担が少なく、腎臓の嚢胞を確認するための検査として広く用いられています。

早期に診断がつくことで、血圧管理や食事指導、薬物療法の検討など、腎機能を保護するための対策を早い段階から始めることができます。近年では、トルバプタンのように嚢胞の増大を抑える薬が使用できるようになっており、適切な条件を満たす患者さんには治療の選択肢が広がっています。

また、遺伝性疾患であることから、患者さんご本人だけでなく、ご家族への影響を含めた遺伝カウンセリングを希望される方もいます。遺伝カウンセリングでは、疾患の遺伝の仕方や発症リスク、家族計画に関する情報を専門の医師や遺伝カウンセラーから丁寧に説明してもらうことができます。

まとめ

多発性嚢胞腎(PKD)は、遺伝的な背景を持ち、クレアチニン値の上昇とともに腎機能が徐々に低下していく疾患です。家族歴のある方や健康診断で異常を指摘された方は、早めに腎臓内科や内科を受診し、専門的な評価を受けることが大切です。治療費については指定難病制度や高額療養費制度を活用することで負担を軽減できる可能性があります。一人で抱え込まず、担当医や医療ソーシャルワーカーに相談しながら、長期的に向き合っていただければと思います。

参考文献

難病情報センター「多発性嚢胞腎(指定難病67)」

国立国際医療センター「多発性嚢胞腎について」

厚生労働省「健康・医療高額療養費制度を利用される皆さまへ」

難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」

日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」

配信元: Medical DOC

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