骨減少症の治療には、生活習慣の改善に加えて薬物療法が必要となる場合があります。治療にかかる費用や、どのような薬が使われるのか、保険適用はどうなっているのかについて、あらかじめ把握しておくことは受診への一歩を踏み出しやすくします。ここでは、使用される主な薬の種類と費用の目安、骨密度検査にかかる費用について詳しく解説します。

監修医師:
松繁 治(医師)
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医
骨減少症(オステオペニア)の治療費と保険適用の仕組み
骨減少症の治療には、生活改善のほかに薬物療法が必要となる場合があります。このセクションでは、治療の種類と費用、保険適用の有無について詳しく解説します。
骨減少症の治療に使われる主な薬と費用の目安
骨減少症に対する薬物療法は、すべての方に必ずしも必要というわけではありません。治療の必要性は、骨密度の数値だけでなく、骨折リスク(年齢・既往の骨折歴・生活習慣・家族歴など)を総合的に評価したうえで判断されます。一般的に、骨減少症(オステオペニア)の段階では生活習慣の改善や栄養補給が優先されますが、リスクが高い方には薬物療法が検討されることがあります。
骨粗しょう症・骨減少症の治療に用いられる薬剤には、以下のような種類があります。
ビスホスホネート製剤(骨の吸収を抑制する薬)
SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター:骨に対して女性ホルモン[エストロゲン]と似た働きをし、骨が溶け出すのを防ぐ薬 )
カルシウム・ビタミンD製剤(栄養補給を目的とした薬)
活性型ビタミンD3製剤
骨粗しょう症の治療薬(ビスホスホネート製剤やSERMなど)を保険適用で使用するためには、原則として『骨粗しょう症』の診断基準を満たす必要があります。骨減少症の段階では食事や運動などの生活習慣の改善が中心となりますが、過去に骨折の経験がある場合などは骨粗しょう症と診断され、薬物療法が開始されることがあります。
カルシウム製剤やビタミンD製剤は比較的手に入りやすく、薬局でも市販品が販売されています。保険診療で処方されるカルシウム・ビタミンD製剤の費用は、1カ月あたり数百円〜2,000円程度(3割負担の場合)が目安とされています。ただし、保険適用外(自由診療)で提供されるサプリメントや検査については全額自己負担となります。
骨密度検査の費用と診察にかかる費用の目安
骨密度検査にかかる費用は、検査方法や医療機関によって異なります。DXA法による骨密度検査は、保険診療として行われる場合は3割負担で1回あたりおおよそ1,500〜3,000円程度が目安です(初診料や再診料、処方箋料などは別途かかります)。検査の頻度は通常1〜2年に1回程度が一般的ですが、医師の判断によって異なります。
健康診断や自治体の検診として骨密度検査が実施される場合、費用が助成されたり無料で受けられたりするケースもあります。特に自治体が実施する「骨粗しょう症検診」は、一定の年齢(多くの場合40〜70歳の偶数年齢)の女性を対象に行われており、自己負担額が数百円程度に抑えられることが多いです。お住まいの市区町村の窓口や保健センターに確認することをおすすめします。
なお、骨減少症の治療で医療機関を受診する場合の費用の目安は、診察料・検査費・薬剤費を含めて1カ月あたり2,000〜5,000円程度(3割負担の場合)になることがありますが、処方される薬の種類や検査の内容によって大きく変動します。具体的な費用については、受診する医療機関に事前に問い合わせることが確実です。
まとめ
骨減少症(オステオペニア)は、骨粗しょう症の一歩手前の状態であり、自覚症状が乏しいながらも将来の骨折リスクに関わる重要な疾患です。特に女性は閉経後のエストロゲン減少により骨密度が低下しやすく、定期的な骨密度検査と早めの対策が骨の健康を守るうえで大切です。診断にはTスコアやYAM値による基準値が用いられ、生活習慣の改善が基本となりますが、リスクに応じた薬物療法が検討される場合もあります。治療費は保険診療の範囲内で一定程度カバーされるため、費用面で過度に心配せず、まずはかかりつけ医や内分泌内科・整形外科に相談することからはじめてみてください。
参考文献
日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」
日本骨代謝学会「骨粗鬆症の 予防と治療ガイドライン 2015 年版」
国立長寿医療研究センター「骨粗鬆症外来」
厚生労働省「ウェブ検索結果日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
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