放置は危険?「糖尿病」の目に迫る“あの変化”と進行を知らせる「5つの症状」

放置は危険?「糖尿病」の目に迫る“あの変化”と進行を知らせる「5つの症状」

糖尿病網膜症が進んでいても、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多いとされています。痛みや見えにくさが現れたときには、すでに網膜に変化が起きているケースも少なくありません。なぜ気づきにくいのか、どのような症状が現れたら注意が必要なのかについて、わかりやすくご説明します。

柳 靖雄

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

糖尿病網膜症の初期症状と気づきにくい理由

糖尿病網膜症が怖いのは、初期段階ではほとんど自覚症状がないという点にあります。このセクションでは、初期症状の特徴とともに、なぜ気づきにくいのかという構造的な理由について解説します。

初期段階で現れにくい自覚症状

単純網膜症の段階では、多くの場合、視力の低下や視野の変化はほとんど感じられません。網膜は痛みを感じる神経を持っていないため、血管に変化が起きていても「痛い」「違和感がある」といった感覚が生じにくいのが特徴です。

このため、「目は問題ない」と感じていても、眼底にはすでに小さな出血や血管のこぶができている場合があります。日常生活の中で気づけないまま進行するケースが多く、健康診断や糖尿病内科での定期検査をきっかけに発見されることが少なくありません。

自覚症状がないことを「問題がない」と捉えてしまう方もいますが、糖尿病を抱えている場合、たとえ視力が正常であっても眼科での定期的な眼底検査を受けることが推奨されます。

進行するにつれて現れる症状の変化

網膜症が進行し、前増殖や増殖の段階になると、さまざまな自覚症状が現れることがあります。よく見られるものとして、以下のような症状が挙げられます。

視界に黒い点や糸くずのようなものが漂って見える(飛蚊症〈ひぶんしょう〉)
視力が急激に低下する
視野の一部が暗くなる、または欠ける
物が歪んで見える(黄斑浮腫の場合)
急に目の前が暗くなる(硝子体出血の場合)

これらの症状が現れた場合は、すでに網膜症がかなり進行しているサインである可能性があります。こうした症状を感じたときは、速やかに眼科を受診することが重要です。

なお、飛蚊症は加齢によっても起こるため、「年齢のせいだろう」と放置してしまう方もいます。糖尿病がある方で飛蚊症が気になる場合は、自己判断せず眼科に相談することをおすすめします。

定期的な眼底検査の重要性

前述のとおり、初期の網膜症は自覚症状がないため、眼底検査による定期的な確認が必要です。眼底検査では、専用の機器を使って眼球の奥(眼底)を直接観察し、網膜の状態や血管の変化を確認します。

糖尿病内科では血糖管理を中心に診療が行われますが、目の状態のチェックは眼科での受診が必要です。糖尿病と診断された方は、眼科でも定期的に検査を受けるよう医師から案内されることが一般的です。

検査の頻度は病状によって異なります。日本糖尿病眼学会の「糖尿病眼手帳(第4版)」では、単純網膜症ではおおむね6か月に1回、増殖前網膜症ではおおむね3か月に1回、増殖網膜症ではおおむね1か月に1回程度の眼科受診が目安とされています(網膜症がない場合はおおむね1年に1回)。実際の間隔は必ず主治医の指示に従ってください。

まとめ

糖尿病網膜症は、高い血糖が続くことで網膜の細い血管が障害される合併症です。初期は自覚症状がほとんどなく、眼底検査で初めて見つかることが少なくありません。進行は単純・増殖前・増殖の段階で捉えられ、これとは別に黄斑浮腫が視力に大きく影響します。治療にはレーザー、抗VEGF薬の硝子体内注射、必要時の硝子体手術などがあり、いずれも内科での血糖・血圧管理とセットで行うことが大切です。費用は多くの場合保険診療の対象で、高額療養費制度や医療費控除の活用も検討できます。糖尿病と診断された方は、目の症状の有無にかかわらず眼科での定期検査を続け、見え方の急な変化があれば速やかに受診してください。

本記事の受診間隔や費用は一般的な目安です。病状や治療内容、自己負担は個人差が大きく、制度も改定されることがあります。最終的な判断は主治医・医療機関の説明に従ってください。

参考文献

厚生労働省「糖尿病の合併症について」

日本眼科学会「糖尿病網膜症診療ガイドライン」

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」

配信元: Medical DOC

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