女性に多い難病「混合性結合組織病(MCTD)」の発症率は?なりやすい人も解説!

女性に多い難病「混合性結合組織病(MCTD)」の発症率は?なりやすい人も解説!

混合性結合組織病(MCTD)という名前を聞いたことがないという人も多いのではないでしょうか。

混合性結合組織病(MCTD)とは、女性に多く発症する指定難病の1つです。メカニズムや原因など解明されていない部分が多く、根本治療も見つかっていません。

症状には個人差がありますが、肺高血圧症を合併すると命を落とす可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要です。

本記事では混合性結合組織病(MCTD)の発症率・なりやすい人の特徴・予防法などについて紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「混合性結合組織病(MCTD)」とは?症状や原因について医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

混合性結合組織病(MCTD)の発症率

指さす男性医師

混合性結合組織病(MCTD)の発症率はどのくらいですか?

厚生労働省が行った疫学調査では、1998年に6,840人が発症し、2014年には11,005人が医療費受給者証保持者という結果が出ています。国内での有病率は100,000人に対し8人程度と考えられています。
その中でも肺高血圧症の合併率は約5%で、特発性肺高血圧症の一般人口における有病率が100万人あたり1〜5人程度なので、混合性結合組織病(MCTD)の肺高血圧症合併率は極めて高いといえるでしょう。また、症状の有無に関係なく膠原病患者に肺高血圧症があるか調べたところ、混合性結合組織病(MCTD)の約16%に肺高血圧症がみられたというデータもあります。
臨床症状の有無に関わらず肺高血圧症を発症している可能性があるため、混合性結合組織病(MCTD)と診断された際は、肺高血圧症を合併していないか心エコーで検査する必要があるのです。経過中にそれまでは問題なくても、急に現れることがあるので繰り返し検査が行われます。

混合性結合組織病(MCTD)はどのような人が発症していますか?

混合性結合組織病(MCTD)は圧倒的に女性に多い疾患で、男女比は1:13〜16です。
患者は40歳代に最も多くみられ、平均年齢は45歳です。なお推定発症年齢は36歳で、30歳代の発症頻度が高くなっていますが、小児から高齢者まで幅広い世代で発症します。

混合性結合組織病(MCTD)に遺伝などはありますか?

混合性結合組織病(MCTD)の症状の1つである全身性エリテマトーデスは家族内発症が多く、一卵性双生児では特に高確率で発症することから、遺伝的要因が強く関係しています。一方、混合性結合組織病(MCTD)は遺伝的要因はあまり認められていません。
しかしある調査の中では若干名家族内での発症が認められたことから、遺伝的要因が全く否定できるわけでもありません。混合性結合組織病(MCTD)が遺伝するというよりは、混合性結合組織病(MCTD)になりやすい体質が遺伝する程度だと考えて良いでしょう。

合性結合組織病(MCTD)は予防することはできますか?

混合性結合組織病(MCTD)はまだ解明されていない部分が多く、予防方法も見つかっていません。しかし混合性結合組織病(MCTD)は日常生活の注意点を守れば、薬物療法をせずとも症状の緩和が期待できます。

過労は避け、症状悪化時は休養を取る

寒冷期はなるべく外出を控え、外出時は手袋を着用

冷水ではなく温水を使用

ハンドクリームをこまめに使用し、外傷予防する

紫外線の強い日は帽子・長袖などを着用し、直射日光を避ける

刺激物はなるべく摂取しない・便秘対策

肺高血圧は喫煙・感染症・発熱・貧血・塩分・水分の過剰摂取・寒冷・疲労がリスク因子のため、これらを避けることが大切です。なお混合性結合組織病(MCTD)を発症しても、軽症であれば妊娠・出産は可能です。
しかし肺高血圧症を合併した場合、肺高血圧が悪化すると有効な手段がないまま死に至る可能性があるため、確実な避妊が必要になります。また軽症であっても命を落とす危険性はあるため、発症中に妊娠・出産を希望している方は、担当医とよく相談する必要があります。

編集部まとめ

笑顔の看護師
混合性結合組織病(MCTD)は原因不明の病気で、予防法も分かっていません。

もし発症した場合には周りの理解・協力を得ながら、上手く付き合っていく必要があります。

また重篤な合併症である肺高血圧症予防も、とても重要です。

もしレイノー現象・風邪症状のない発熱・息切れ・動悸などが1日に何度も出るようであれば、早めに医療機関を受診してください。

早期発見・早期治療を行うことで、合併症を予防し辛い症状も緩和できるでしょう。

参考文献

混合性結合組織病(MCTD)(日本リウマチ学会)

混合性結合組織病の診断と治療の進歩

混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版)

配信元: Medical DOC

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