タンパク質と一緒に摂って初めてからだ中に行きわたる!
「Aは食べ物で言うと鰻やレバーに多い脂溶性ビタミン。細胞分裂のシグナルとして働くため、不足すると新陳代謝が鈍って皮膚のターンオーバーが滞り、くすみなどの原因に。子宮内膜の生まれ変わりにも関わっているため、欠乏で妊娠しづらくなることもあります。また免疫系にも関与。特に食べたものに対するアレルギー反応が起きないようにする調整役を担っています。なお、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンから合成できると思っている人もいるかもしれませんが、実際はできない人もいて食事からは十分に補充しにくいため、やはりサプリで補いたい。からだの中でAを運搬するのはタンパク質なので肉や魚の摂取も必須!」(斎藤先生)
いろんな機能を持つマルチプレイヤー
【ビタミンB】
ビタミンBはこんな人に必要です
・炭水化物が好き
・甘いものに目がない
・シワが目立つようになってきた
・短期間でくすみを解消したい
・若返り遺伝子をONにしたい
【About Vitamin B】
8種の水溶性ビタミン群。ミトコンドリアから若返らせる!
多種多様なエフェクトがあるB群の特に大きな“功績”は細胞活性。「細胞のエンジン役であるミトコンドリアの中で働いて燃焼を促進します。細胞が元気に働くことこそが若さと健康のキーなので、まさにBはアンチエイジングの土台作りを担う栄養素といえます。B₃のほか、B₁・B₂・B₅・B₆・B₉・B₁₂にも酸化還元反応を潤滑にして、細胞の代謝を上げる作用があります」(亀山先生)。
「エネルギー代謝にはB₁~B₅が必須! 特に糖の代謝に関わるB₁が欠乏すると脚気になることは有名です。欠乏しがちで要注目なのはタンパク質の分解を司るB₆。肝臓の解毒や幸せホルモンとして知られるセロトニンの伝達にも関与していて、不足によってPMSや生理前のニキビ、肝斑がひどくなることも」(斎藤先生)
特に注目したいのは美容界のニューアイドルB₃(ナイアシンアミド)
Bのなかでも美肌効果で今、もてはやされているのはB3。「ナイアシンアミドと呼ばれていて、これからスキンケアの主役になっていくであろうポテンシャルを持った成分です。私のクリニックでは、肌に塗布して1週間でシワが改善された例もたくさんありますし、比較的短期間で高い美白効果も望めます。さらに、長寿遺伝子とも若返り遺伝子ともいわれているサーチュインを活性化して、全身のアンチエイジングに関与している点も特徴。肌に塗布しても、サプリメントなどで経口摂取してもこの効果は望めます」(亀山先生)。 敏感肌でも試しやすく使用に関して特にNG事項がない点も脚光を浴びている理由!
心と免疫の調整役です
【ビタミンD】
ビタミンDはこんな人に必要です
・花粉症だ
・風邪をひきやすい
・仕事柄、ほぼ終日屋内で過ごす
・万年便秘だ
・鬱気味で寝つきも悪い
【About Vitamin D】
アレルギーもウイルス対策もお任せ。免疫力を高めるのに必要不可欠です
日本人の98%が欠乏状態のビタミンDは、とりあえず誰もがサプリメントで補充しておきたい栄養素! 日光に当たることで生成される特性があるだけに、日照時間が減る秋冬シーズンに向けて、摂取するのを習慣にしておきたい。
コロナ以降、特に脚光を浴びているのが免疫系での働き。「免疫が暴走するとアレルギーなどさまざまな疾患に繋がりますが、Dは免疫の過剰反応を抑制するブレーキ役を果たしています。一方で免疫力そのものをアップさせる働きも。からだはウイルス感染などを防ぐために天然の抗生物質(抗菌ペプチド)を分泌しますが、その生成・分泌を担うのがDなのです。摂取により子どものインフルエンザ罹患率が予防ワクチン以上におさえられたというデータや、1日2000IU程度のチャージで癌の発症リスクや死亡リスクが減ったという論文がありますし、歯周病予防や腸内環境の安定にもDが働きます。さらに幸せホルモン・セロトニンの分泌や、A同様に皮膚のターンオーバーを促す働きまで。実はマルチプレーヤーなんです!」(斎藤先生)
日本人の90%以上が不足! まさに太陽のビタミンです
「慈恵医大が今年発信したリリースでは日本人の98%はD不足だという情報が。その原因のひとつは日光を浴びない現代人の生活。Dは紫外線に当たることで体内で生成されますが、今は皆、屋外でも日焼け止めを塗って太陽を遮っていますよね。北欧では日照時間が短い季節はタンニングマシーンに入って生成を促す習慣もあるほど、Dは重要視されています。その働きで古くから知られるのは腸管でカルシウムの吸収を助ける作用。不足すると骨が脆くなり骨粗鬆症のリスクも」(斎藤先生)
そもそもですが……意外と知りませんよね!?「ビタミン」ってどんな栄養素?
全部で13種類もあり、免疫力アップやハリ・シワ改善、美白などなど……ミューズ世代に嬉しいさまざまな美容・健康効果で知られるビタミン類。その効能以外の特性とは?
「ビタミンとは糖質・脂質・タンパク質の代謝を助ける、補酵素としての働きを持った栄養素。水に溶けやすい水溶性と油に溶けやすい脂溶性のものがあります。細胞が生き生きと働くために不可欠ですが、その多くはからだの中で合成することができません。そのため、食事やサプリメントから毎日チャージすることが必要となります。なお、化粧品にもビタミンを配合したものがたくさん出ているように、皮膚から取り入れることも可能 ! 化粧品に使われている他の成分と比べると、分子量が小さくて浸透しやすいものが多いため、早く効果を実感しやすいのが特徴です。ただし、ビタミン美容の基本はコスメよりもまず、しっかり食べ物やサプリメントからチャージして、常に血中濃度が下がらないようにしておくこと。からだの中に十分な量のビタミンがなければ、肌に塗っても内臓のために優先的に使われてしまって、美肌効果まで手が回らないのです」(亀山先生)。
「ビタミンは多種多様ですが、決して何かだけを重点的に摂ればいいわけではありません。また、後述するように、併せて摂ったほうがいいものを把握することも大切です」(斎藤先生)
美肌を目指せる最強コンビ
▶︎ ビタミンB+D
左から:2種のビタミンBとの掛け合わせで生まれた超ビタミンC+を30%配合。C+mania パワーセラムC+30 20mL ¥7,480(プレミアアンチエイジング)、抗酸化力に優れたスイカ幼果実エキスもIN。インテンシブマスクC 1枚 ¥352(ミティア オーガニック)、ナイアシンアミドを核にC、レチノールもプラス。薬用Cリンクルホワイトミルク [医薬部外品] 70mL ¥8,800(ドクターケイ)、従来品の倍のナイアシンアミドと2種のビタミンC誘導体を加えパワーアップ。バイユア ビタギビング アクアセラムマスク 1枚 ¥390(Hamee)
「Cが酸化して抗酸化力を失った際はBがリセットする働きを担いますし、B₃(ナイアシンアミド)は、Cと合わさるとミトコンドリアを活性化させる作用が高まることが分かっています。つまり両者の効果を高めるためには一緒に摂るべき。さらにAも合わさると最強です」(亀山先生)
美白ならこの組み合わせ
▶︎ ビタミンC+E
左から:シャープな輪郭を目指す発酵成分とWビタミン入り夜用マスク。ソフィスタンス リチュアル 10包 ¥9,900(ソフィスタンス)、高濃度&高浸透でC美容を牽引する存在! オバジC25セラム ネオ 12mL ¥11,000(オバジコール)、カプセルにビタミンEを閉じ込めてフレッシュなまま肌へ。C誘導体との相乗効果でクリア肌を実現。ディオール スノー エッセンス オブ ライト マイクロ ローション[医薬部外品] 175mL ¥8,250(パルファン・クリスチャン・ディオール) 、A~C、Eの力を集約した美白化粧水。アンフィネスホワイト クリスタル コンダクター [医薬部外品] 100mL ¥7,700(アルビオン)
「細胞膜をサビつきから守ってくれるEは、酸化しやすく効力を失いやすいのが特徴ですが、Cには酸化したビタミンEを還元して、もとの働きを取り戻す作用があります」(亀山先生)。また、Eと合わさることでCのシミ改善効果が高まるという説も! 美白コンビと覚えておきたい。
肌トラブルにはこの2つを
▶︎ ビタミンA+D
左から:1粒にビタミンAを5000IU、Dを400IU含有! アクティブサプリ ビタミンA+D 60粒 ¥3,240(プロティア・ジャパン)、サプリメントでは珍しくレチノールを採用し、β-カロテンをAに変換できない体質の人にも効果的な配合を実現。AD1000 120粒 ¥6,600(日本機能性医学研究所)
「AとDは免疫の調整役という同じ働きを持っています。そしてDだけを補った場合、ドライアイなど、A欠乏のような症状が現れることもあるため併せて摂るのがオススメ。この2つが充足することで皮膚のターンオーバーが正常に行われるので肌トラブルの改善に効果的」(斎藤先生)
てんこ盛りで無敵の飲むケア
▶︎ ビタミンB+C+D+E
左から:韓国でブームのカプセル、錠剤、リキッドがひとつになった高栄養タイプ。BからEのほか、ビタミンDやK、各種ミネラルもたっぷりIN! MY FIT V マルチビタイミューン128〈液体20mL+錠剤+カプセルのセット〉14本 ¥4,950(東国製薬・9月下旬発売予定)、12種のビタミンとコラーゲンペプチドをひとつにしたトローチタイプ。Lashiku からだ・しなやか [栄養機能食品] 60粒 ¥5,400(再春館製薬)
「ビタミンは多数を組み合わせてチームで働かせるほど、それぞれのポテンシャルが高まって相乗効果で“いい仕事”をします。飲むときも肌に塗るときも、ビタミンカクテルとして取り入れることを念頭において」(亀山先生)
お話を聞いたのはこのこのお2人
医師・日本機能性医学研究所所長・斎藤クリニック院長
斎藤糧三先生/美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合した、独自のトータルアンチエイジング理論を確立。“食で日本を健康に”をモットーに牧草牛の普及にも尽力中。麻布十番には牧草牛専門の精肉店「Saito Farm」をオープンさせた。
皮膚科専門医・医学博士・青山ヒフ科クリニック院長
亀山孝一郎先生/世界に先駆けてビタミンCのニキビに対する効果を論文発表した、ビタミンC療法の第一人者。数種のビタミンを組み合わせたカクテル療法を提唱しているほか、皮膚科学に基づくスキンケアブランド・ドクターケイを監修。セレブリティからの信頼も厚い。
illust:AKIKO HIRAMATSU / text:CHIHIRO HORIE
otona MUSE 2023年10月号より
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