“初期症状”を見逃すな!「自慰」のやりすぎで悪化する落とし穴【医師監修】

“初期症状”を見逃すな!「自慰」のやりすぎで悪化する落とし穴【医師監修】

過度な自慰行為が続くと、男性特有の身体トラブルが現れることがあります。「最近、股のあたりに違和感がある」「排尿時に痛みを感じる」といった症状が続く場合は、何らかの不調のサインかもしれません。このセクションでは、自慰との関連が考えられる男性特有の状態と、対応のポイントについて解説します。

村上 知彦

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

自慰と関連が考えられる病気(男性)

このセクションでは、自慰との関連が考えられる男性特有の病気や不調について解説します。適切な自慰そのものが直接的に重篤な病気を引き起こすわけではありませんが、過度な頻度や強すぎる刺激、不衛生な状態が重なったときには、背景に何らかの身体的なトラブルが関わっている可能性があります。症状に気づいたときに適切に対応できるよう、代表的な状態を確認しておきましょう。

陰茎の皮膚トラブルや亀頭包皮炎

自慰を短期間に繰り返すことで生じる物理的な摩擦損傷や手・皮膚の雑菌が引き金となり、亀頭(ペニスの先端)や包皮(皮の部分)に炎症が起きることがあります。これを「亀頭包皮炎(きとうほうひえん)」といいます。亀頭包皮炎の主な症状としては、亀頭や包皮の発赤(強い赤み)、かゆみ、ヒリヒリとした痛み、腫れ、かす状の白い分泌物などが挙げられます。

亀頭包皮炎の原因は物理的な摩擦だけでなく、細菌(黄色ブドウ球菌など)や真菌(カンジダなどのカビ)の感染によって発生することが多いです。特に、包茎(ほうけい:包皮が亀頭を覆った状態)の方は包皮の内部が蒸れやすく不衛生になりやすいため、雑菌が繁殖して炎症を起こしやすい傾向があります。爪を短く切る・手を洗ってから行う・水溶性ローションで摩擦を減らすなどして清潔を保つことが予防に有効ですが、症状が現れたり繰り返したりする場合は、無理をせず泌尿器科や皮膚科を受診することが大切です。

なお、自己処置として家に余っている市販の軟膏(特にステロイド系)を自己判断で使用するのは避けてください。原因が真菌(カビ)の場合にステロイドを塗ると、免疫が抑えられて逆に症状が悪化してしまうことがあります。正しい原因(細菌性なのか真菌性なのか)を専門医に判定してもらい、適切な処方薬を使用することが早期治癒への近道です。

前立腺への影響と慢性骨盤痛

前立腺(ぜんりつせん)は男性の膀胱の真下に位置し、尿道を取り囲むように存在する精液の一部を作る臓器です。自慰や性的興奮が繰り返されることで、前立腺周辺の血管が拡張して充血し、下腹部や股のあたりに違和感を覚える方がいます。特に、性的興奮を高めながら射精を無理に我慢する行為(いわゆる寸止め)を長時間繰り返したり、あまりにも過度な頻度で行うと、前立腺周辺や骨盤底筋群(骨盤の底で尿道や内臓を支える筋肉の集まり)に過度な緊張や不快感が生じやすくなるとされています。

慢性的な骨盤の痛みや会陰部(えいんぶ:男性器の付け根からアナルの間の部分)の鈍痛・不快感、尿道の奥の違和感は、「慢性前立腺炎(まんせいぜんりつせんえん)」や「慢性骨盤痛症候群(まんせいこつばんつうしょうこうぐん)」と呼ばれる状態に関連している場合があります。これらは自慰のみが原因となるわけではありませんが、骨盤周りの血流障害や筋肉の緊張が症状を長引かせる一因となります。

一方で、適度な頻度で排精(射精)を行うことは前立腺液の循環を促し、前立腺の健康維持にプラスに働くという見解も広く知られています。問題となるのは極端な高頻度や身体に無理を強いるやり方です。排尿時の違和感や股の奥の痛みが数週間以上続く場合は、自己判断で放置せず、泌尿器科を受診して専門医の診察を受けるようにしてください。

まとめ

自慰は多くの方が行う自然な行為であり、適切な範囲であれば健康に害をもたらすものではありません。しかし、過度な頻度や強い刺激の繰り返しは、皮膚トラブルや疲労感、精神的な負担につながる可能性があります。症状や生活への支障を感じたときは、生活習慣の見直しとともに、泌尿器科・婦人科・心療内科などの専門の医師への相談を検討してみてください。

参考文献

日本性科学会「一般社団法人 日本性科学会」

厚生労働省「健康・医療健康日本21(第二次)」

配信元: Medical DOC

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