アニサキスの“治療費”を抑える「あの制度」とは?受診の目安【医師監修】

アニサキスの“治療費”を抑える「あの制度」とは?受診の目安【医師監修】

腸アニサキス症で入院や手術が必要になった場合、高額療養費制度を活用することで自己負担を一定の範囲に抑えられる可能性があります。また、症状が出たタイミングで適切な医療機関を受診することも、回復を早めるうえで大切です。「費用が心配だから受診を後回しにしよう」と感じている方も、利用できる制度と受診の目安を知ることで、一歩踏み出しやすくなるかもしれません。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腸アニサキス症の治療費を抑えるための制度と受診のタイミング

医療費に不安を感じる方にとって、利用できる制度を事前に知っておくことは大切です。このセクションでは、医療費に関連する公的な制度と、症状が出たときに適切なタイミングで受診することの重要性について解説します。

高額療養費制度と医療費助成制度の活用

腸アニサキス症で入院や手術が必要となった場合、治療費が高額になることがあります。そのような場合に活用できる制度として、「高額療養費制度」があります。これは、1ヶ月の医療費が一定の自己負担上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。上限額は収入に応じて設定されており、例えば年収約370万〜770万円の方の場合、1ヶ月の上限は80,100円(医療費が267,000円を超える場合は別の計算方法が適用)が目安となっています(※上限額は所得によって異なり、制度が変更される場合があるため、最新の制度は加入の健康保険窓口で確認してください)。
手術や長期入院が必要となった場合でも、高額療養費制度を活用することで実質的な自己負担を一定範囲に抑えることが可能です。申請は加入している公的医療保険(健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険など)に対して行います。事前に「限度額適用認定証」の交付を受けておくと、医療機関での支払い時点で上限額に抑えることができ、後から払い戻しを待つ手間が省けます。
また、70歳以上の方や住民税非課税世帯の方については、さらに自己負担上限が低く設定されています。自分が該当する区分を確認するため、加入している保険者(職場の健保や市区町村の担当窓口)に問い合わせることが、費用面の不安を解消する第一歩になります。

受診のタイミングと受診先の選び方

腸アニサキス症が疑われる場合、適切なタイミングでの受診が症状の悪化を防ぐうえで重要です。生魚を食べた後、数時間から数日以内に以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが推奨されます。
症状の目安として挙げられるのは、強い腹痛(特にへそ周辺や右下腹部)、嘔吐、吐き気、下痢、腹部の張り感などです。これらの症状が急激に現れた場合や、痛みが持続する場合は、腸閉塞などの合併症が起きている可能性もあるため、自己判断で様子を見ることはリスクを伴います。
受診先については、消化器内科が適切とされています。かかりつけ医に相談してから専門の医療機関を紹介してもらう流れも一般的です。腸アニサキス症は、診察の際に食歴(何を食べたか、いつ食べたか)の情報が診断に非常に役立ちます。受診時には食べた食材の種類や食事の時間をメモしておくとスムーズです。
また、夜間や休日に激しい腹痛が起きた場合は、救急外来を受診することも選択肢の一つです。腸閉塞が疑われる場合は緊急対応が必要となるため、症状が急激に悪化したときには速やかに対応することが大切です。治療費の不安があるからといって受診を先延ばしにすることは、症状の悪化や合併症のリスクを高める可能性があるため、身体の異変を感じたら早めに相談することをお勧めします。

まとめ

腸アニサキス症は、生魚を食べた後に腸へアニサキスが侵入することで起きる感染症で、強い腹痛や腸閉塞などの症状が現れることがあります。予防の基本は、魚の加熱処理や冷凍処理、鮮度管理の徹底です。感染後は腸への刺激が少ない食事を心がけ、再感染を防ぐための食生活の見直しも大切です。治療費については保険が適用され、高額療養費制度の活用で負担を軽減できる可能性があります。症状が気になる方は、早めに消化器内科へ相談されることをお勧めします。

参考文献

厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」

国立健康危機管理研究機構「アニサキス症とは」

食品安全委員会「アニサキスによる食中毒」

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

配信元: Medical DOC

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