【闘病】“離婚”を選んだのは「将来動けなくなる自分」を介護させたくなかったから《脊髄小脳変性症》

【闘病】“離婚”を選んだのは「将来動けなくなる自分」を介護させたくなかったから《脊髄小脳変性症》

病気が「毎日を大切に生きる」という幸せを気付かせてくれた

病気が「毎日を大切に生きる」という幸せを気付かせてくれた

編集部

もしも昔の自分にアドバイスできるなら、どんなことを伝えたいですか?

真壁さん

「生きられているだけでいい」「懸命に生きようとしている」、そのことだけで自分に満点をあげていいと自分に言います。病気でいろいろなことが出来なくなった自分や、病気を治せない自分を責めて認められない日々が続き、それがより自分を苦しめたと思うからです。

編集部

脊髄小脳変性症について知らない人に向けて、伝えたいことはありますか?

真壁さん

私の病気は、大脳に損傷があるわけではないので、人の言っていることや外部で起きていることはほぼ認識できます。ただ、反応や表現が遅いので、それがとても自分自身のストレスでもあり、周りもこの病気の症状を理解しにくい部分だと思います。それをわかってほしいとは望みませんが、「何かあるんだな」と想像をしてもらえると嬉しいです。

編集部

ご自身の経験から医療従事者の方に期待すること、伝えたいことはありますか?

真壁さん

私の場合は、かかった医師のほとんどが機械的で、病気を持つ人の心に寄り添おうとする姿勢はあまり感じられませんでした。たとえ病気を治すことが困難であっても、少しでも相手をほっとさせるような一言をもらえることを望みます。

編集部

最後になにかメッセージがあればどうぞ。

真壁さん

今も大変ですが、病気を通じてそれよりも大きな気づきや幸せをもたらしてくれましたし、これからもそうだと思っています。病気だけでなく、人生で大きな困難が起きたとしても、命があれば必ずできることがあると思うからです。私は朝目覚めたときに「今日という一日が、また私に与えられた」と思い、一日に感謝することから始めます。今日一日は私にとっての何かのチャンスだと。いろいろな困難に直面しても、あきらめずに生きていく姿勢を、私はこれからも示していきたいです。私は難病体験を通じて「この世の中に当たり前はない」と気づかされたと思っています。歩けること、人と会話できること、働けること、食べられることなど、今までは当たり前だとして生きてきましたが、それらはすべて覆されました。そして病気や怪我などで大変な思いをしている人たちの本当の大変さを、それまでの自分は全然わかっていなかったと反省しました。あらゆることを当たり前だと思わなくなると、それらのことに自然と「感謝」が生まれるのです。住まい、食べ物、着るものがあることも「ありがたい」と感じ、人にあいさつされたり、ちょっと親切にされたりするだけでもすごく嬉しくなるのです。ですから私は難病になる前よりも、今の方が幸せだと思います。難病体験は私に感謝を思い出させてくれました。

編集部まとめ

脊髄小脳変性症は患者数こそ少ないものの、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体で症状を一定程度緩和できることがわかっています。また、2023年10月にはロボットスーツによるリハビリテーションも保険適用となり、患者にとって1つの希望となっています。完治できる治療法は発見されていませんが、今後の医療技術発展によって改善が期待できる病気の1つです。家族や知人に脊髄小脳変性症と思われる症状の方がいたら、すぐに神経内科への受診を進め、早期に治療を開始することを意識してください。

なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

上田 雅道

記事監修医師:
上田 雅道(あたまと内科のうえだクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

配信元: Medical DOC

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