クレアチニン”を見逃すな!「多発性嚢胞腎」の症状が悪化する落とし穴

クレアチニン”を見逃すな!「多発性嚢胞腎」の症状が悪化する落とし穴

多発性嚢胞腎は遺伝的背景が強く関与する疾患で、代表的なタイプである常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)では、親がADPKDの場合に子どもへ遺伝する確率はおよそ50%とされています。一方、常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)は乳幼児期から重篤な症状が現れることもあります。症状がなくても家族歴がある方は腎臓内科などへの受診を検討することが早期発見につながります。超音波検査やMRI検査によって嚢胞の状態を確認し、早い段階から対策を始めることが腎機能保護に役立ちます。

浅川 貴介

監修医師:
浅川 貴介(医師)

【経歴】
2004年私立海城高等学校卒業
2010年私立東邦大学医学部卒業医師免許取得
2012年公益財団法人日産厚生会玉川病院
2016年東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科
2018年医療社団法人七福会ホリィマームクリニック
2022年浅川クリニック
【免許・資格】
・医学博士
・日本内科学会総合内科専門医
・日本腎臓学会腎臓専門医
・日本透析医学会透析専門医
・労働衛生コンサルタント(保健衛生)
・東京都福祉局認定難病指定医

多発性嚢胞腎(PKD)の治療費と保険適用の概要

多発性嚢胞腎の治療を続けていくうえで、治療費の見通しを持っておくことは患者さんやご家族にとって大切な情報です。このセクションでは、治療にかかる費用の概要と保険制度について解説します。

保険適用で受けられる治療と費用の目安

多発性嚢胞腎の治療は、病状のステージや合併症の有無によって内容が変わりますが、多くの治療は健康保険が適用されます。

外来受診では、血液検査(クレアチニン・eGFRの確認など)や尿検査、超音波検査、CT検査・MRI検査といった画像検査が行われます。これらの検査は保険適用となり、患者さんの自己負担は通常3割(年齢や所得によって異なります)です。

薬物療法として用いられる降圧薬(ACE阻害薬やARBなど)は、保険適用の処方薬です。また、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療薬として承認されているトルバプタンは、一定の条件(腎機能の低下速度、画像による腎臓の大きさの評価など)を満たす患者さんに保険適用で処方されます。ただし、トルバプタンの薬価は月あたりかなりの額になることがあり、高額療養費制度を活用することで自己負担を一定額に抑えることができます。

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担が一定の上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得に応じて設定されており、長期的な治療が必要な多発性嚢胞腎の患者さんにとって、この制度を把握しておくことは治療を継続するうえで助けになります。

透析・腎移植が必要になった場合の治療費

多発性嚢胞腎が進行し、腎不全(末期腎不全)の状態になると、透析療法や腎移植が必要になることがあります。透析は腎臓の代わりに血液をきれいにする治療法で、主に血液透析と腹膜透析の2種類があります。

血液透析は通常、週3回・1回あたり4〜5時間程度、医療機関に通院して行います。透析に必要な費用は月あたり数十万円に上ることもありますが、「身体障害者手帳の取得」や「特定疾病療養受療証(人工透析を必要とする慢性腎不全の場合)」の制度を活用することで、自己負担を大きく軽減できる仕組みがあります。慢性腎不全による透析の場合、自己負担の上限額が設けられており、実際の窓口負担は月1万円程度に抑えられるケースもあります(所得や加入保険によって異なります)。

腹膜透析は、お腹の中の腹膜を利用して老廃物をろ過する方法で、自宅で実施できるため通院の回数を減らすことができます。費用については血液透析と同様に公費負担の仕組みが利用可能ですが、消耗品や機器のレンタル費用が発生することもあります。

腎移植は、ドナー(提供者)から腎臓を提供してもらい、患者さんの身体に移植する治療です。移植後は拒絶反応を防ぐための免疫抑制薬を継続的に内服する必要があり、薬代を含む長期的な管理費用が発生します。腎移植にかかる手術費用や入院費用は保険適用ですが、高額になるため、高額療養費制度の活用が前提となります。

まとめ

多発性嚢胞腎(PKD)は、遺伝的な背景を持ち、クレアチニン値の上昇とともに腎機能が徐々に低下していく疾患です。家族歴のある方や健康診断で異常を指摘された方は、早めに腎臓内科や内科を受診し、専門的な評価を受けることが大切です。治療費については指定難病制度や高額療養費制度を活用することで負担を軽減できる可能性があります。一人で抱え込まず、担当医や医療ソーシャルワーカーに相談しながら、長期的に向き合っていただければと思います。

参考文献

難病情報センター「多発性嚢胞腎(指定難病67)」

国立国際医療センター「多発性嚢胞腎について」

厚生労働省「健康・医療高額療養費制度を利用される皆さまへ」

難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」

日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」

配信元: Medical DOC

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