骨減少症の治療には医療費がかかる場合がありますが、日常のセルフケアによって骨密度の低下を緩やかにする取り組みも大切です。特別な設備や高額な費用を必要とするわけではなく、毎日の食事や運動、転倒予防など、日常の中に無理なく取り入れられることから始められます。ここでは、食事で骨を守るための栄養素の摂り方と、日常でできる具体的な行動指針を解説します。

監修医師:
松繁 治(医師)
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医
骨減少症(オステオペニア)の治療費と日常でできるセルフケア
骨減少症の治療には医療費がかかる場合がありますが、日常のセルフケアによって骨密度の低下を緩やかにする取り組みも重要です。このセクションでは、治療費を踏まえた生活改善の具体的な方法について解説します。
食事で骨を守るための栄養素の取り方
骨の健康を維持するうえで、食事からの栄養摂取は基本的かつ重要なアプローチです。特に重要な栄養素として、カルシウム・ビタミンD・ビタミンK・タンパク質の4つが挙げられます。
カルシウムは骨の構造を作る主な成分であり、毎日の食事で継続的に摂取することが大切です。牛乳や乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品、干しシラスやサンマなどの小魚、小松菜や菜の花などの葉野菜に多く含まれています。ただし、過剰摂取は腎臓への負担になる可能性があるため、食事から摂取することが基本です。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるだけでなく、骨の形成を直接促進する作用も持っています。日光浴(1日15〜30分程度を目安とする)によって皮膚でビタミンDが産生されるため、天気の良い日に少し外出するだけでも効果が期待できます。食事からは鮭・マグロ・サバ・卵黄・干しシイタケなどから摂取することができます。
ビタミンKは骨タンパク質(オステオカルシン)の活性化に関わる栄養素であり、骨の質を維持するうえで重要な役割を持っています。納豆・ほうれん草・ブロッコリー・春菊などに多く含まれており、日本の食卓に取り入れやすい食材が豊富です。タンパク質は骨の有機成分(コラーゲンなど)の原料となるため、十分な摂取が骨の強度を保つうえで必要です。
骨減少症を予防・改善するための日常的な行動指針
骨減少症の進行を防ぐための日常的な取り組みは、特別な設備や高額な費用を必要とするわけではありません。日常の中に無理なく取り入れられる行動から始めることが、長続きするセルフケアの鍵です。
まず、毎日30分程度のウォーキングを習慣にすることが骨密度の維持に役立ちます。階段を積極的に使う、電車の中で立つようにするといった小さな行動の積み重ねも、骨への荷重刺激になります。バランスの良い姿勢を保つことも大切であり、正しい立ち方・歩き方を意識することで骨や筋肉への適切な刺激につながります。
転倒予防も骨減少症のある方にとって重要な課題です。自宅内のカーペットのめくれや段差をなくす、照明を明るくするといった環境整備が転倒リスクの低減に寄与します。外出時には滑りにくい靴を選ぶ、雨の日には特に足元に注意するといった習慣も有益です。
定期的な骨密度検査の受診も欠かせません。骨減少症は自覚症状がないため、自己判断で「改善した」と思わずに、医療機関での定期的なフォローを継続することが重要です。特に閉経後の女性は2年に1回程度の骨密度検査が推奨される場合があるため、かかりつけの内科や内分泌内科・整形外科の医師に検査の頻度についてご相談ください。
日常のセルフケアに加えて、必要に応じた医療機関への受診を組み合わせることが、骨減少症から骨粗しょう症への進行を防ぐうえで現実的な選択肢です。治療費に不安がある方は、自治体の検診制度や健康保険の活用について医療機関の窓口や市区町村の担当課に相談することをおすすめします。
まとめ
骨減少症(オステオペニア)は、骨粗しょう症の一歩手前の状態であり、自覚症状が乏しいながらも将来の骨折リスクに関わる重要な疾患です。特に女性は閉経後のエストロゲン減少により骨密度が低下しやすく、定期的な骨密度検査と早めの対策が骨の健康を守るうえで大切です。診断にはTスコアやYAM値による基準値が用いられ、生活習慣の改善が基本となりますが、リスクに応じた薬物療法が検討される場合もあります。治療費は保険診療の範囲内で一定程度カバーされるため、費用面で過度に心配せず、まずはかかりつけ医や内分泌内科・整形外科に相談することからはじめてみてください。
参考文献
日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」
日本骨代謝学会「骨粗鬆症の 予防と治療ガイドライン 2015 年版」
国立長寿医療研究センター「骨粗鬆症外来」
厚生労働省「ウェブ検索結果日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
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