ストレートネック(スマホ首)の影響は、首や肩のこり・痛みにとどまらず、自律神経の乱れを介して全身のさまざまな不調につながることがあります。吐き気や消化器症状、睡眠障害、眼精疲労など、一見すると首とは関係がないように思える症状の背景に、姿勢の乱れが関与している場合もあります。このセクションでは、ストレートネックが全身や内臓機能に及ぼす影響について詳しく解説します。

監修医師:
松繁 治(医師)
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医
ストレートネック(スマホ首)の症状②:全身・内臓に現れる多彩な不調
ストレートネックの影響は、首・肩の痛みやこりだけにとどまらず、全身の健康状態や内臓機能にまで及ぶことがあります。このセクションでは、見落とされがちな全身症状と内臓への影響について詳しく解説します。
吐き気・消化器系の不調
ストレートネックによる慢性的な首のコリや神経への刺激は、自律神経のバランスを崩し、消化器系にも悪影響を与えることがあります。通常、胃や腸の食べ物を送り出す動き(蠕動運動)は副交感神経によって促進されますが、自律神経の調整機能が乱れると、胃のもたれ・吐き気・食欲不振・便秘・下痢といった多彩な症状が現れやすくなります。
「食後に気分が悪くなる」「特定の姿勢をとると吐き気を感じる」といった不調を抱える方の中には、ストレートネックによる自律神経の乱れが背景にあるケースも見られます。ただし、消化器症状は胃炎や胃潰瘍など内科的疾患が原因である可能性も高いため、まずは消化器内科等で検査を受け、明確な異常が認められない場合に姿勢や頸椎の状態を評価してみることが推奨されます。
睡眠障害・倦怠感(けんたいかん:体が重だるい感覚)
ストレートネックによる慢性的な首・肩の痛みや筋肉の緊張は、睡眠の質を著しく低下させることがあります。夜間に首の痛みや不快感で何度も目が覚めたり、寝返りのたびに違和感が生じて深い眠りに入れなかったりする方も少なくありません。
睡眠不足や浅い眠りが続くと、日中の強い倦怠感(全身の重だるさ)や集中力の低下、頭がすっきりしない感じ、気分の落ち込みへとつながります。さらに、十分な休息がとれないと自律神経が一段と乱れるため、頻尿・消化器症状・頭痛などの症状を一段と悪化させる悪循環に陥りやすくなります。ストレートネックの改善やリハビリと並行して、自分に合った枕の高さや寝具の硬さなど、睡眠環境を整えることも非常に重要です。
視力低下・眼精疲労(がんせいひろう)
スマートフォンやパソコンを長時間使用することが多い方は、単なる目の疲れにとどまらず、休んでも目や体の不快感が回復しない「眼精疲労」を抱えている場合が多く見られます。ストレートネックでは、頸椎周辺の筋肉の過度な緊張が、首から頭部、そして目の周囲へとつながる筋肉や神経・血管にまで影響を及ぼします。
目がかすむ・ピントが合いにくい・目の奥が重く痛む、といった症状は、首の後ろの筋肉(後頭下筋群)の緊張による血圧調整の乱れや血流低下と深く関係しています。また、画面を見るときに首を前に突き出す前かがみの姿勢は、首周りの血管を圧迫し、眼球への血行不良を招くリスクがあります。眼科的な検査で目自体に特別な原因が見当たらないにもかかわらず眼精疲労が続く場合は、日常的な姿勢の問題が関与していないか確認してみることが重要な視点となります。
まとめ
スマートフォンやパソコンが手放せない現代において、ストレートネック(スマホ首)は多くの方に関わる問題です。首や肩のこり・頭痛にとどまらず、頻尿・消化器症状・睡眠障害など、一見関係のない不調の背景にある場合があります。日々の姿勢や生活習慣を見直すことが予防の基本ですが、症状が続く場合は整形外科や神経内科、泌尿器科などへの受診をご検討ください。早めに専門家へ相談し、自分に合った対処法を見つけていきましょう。
参考文献
厚生労働省「自律神経失調症 | 生活習慣病などの情報」
国立長寿医療研究センター「尿もれの治療や対処について」
日本整形外科学会「頚椎症」
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