クリプトコックス症の前兆や初期症状について
もともと元気な人の場合は、ほとんどが無症状のまま肺に小さな感染巣をつくる程度ですが、免疫の弱い人では脳にまで広がり、重い炎症を引き起こすことがあります。特にエイズの患者さんでは、65〜94%という高い割合で中枢神経にも感染してしまうことが知られています。感染した部位ごとに以下のような症状が現れます。
脳髄膜炎の症状
頭痛、吐き気、意識がもうろうとするなどがみられます。これらは命に関わるため、特に注意が必要です。
肺の症状
咳や息切れなど、一般的な呼吸器の症状が出ます。胸部のレントゲンやCTでは、肺にしこりのような影やもやもやした白い影が見られることがあります。
中枢神経の異常影
脳にこぶのような塊ができることがあり、画像検査で発見されることもあります。
クリプトコックス症の検査・診断
クリプトコックスの肺への感染が疑われる場合は気管支鏡検査を行います。そこで肺を洗浄した液や採取した肺の組織からクリプトコックスを培養します。特殊な染色をして顕微鏡で観察し、クリプトコックスがいることが確認されるとクリプトコックス症と診断されます。
また、血液検査を行って、クリプトコックスの膜のタンパク質の有無を調べることもあります。この検査ではクリプトコックス・ネオフォルマンスとクリプトコックス・ガッティを区別することはできませんが、診断を助けるのに有用な検査です。
そして、脳への広がりを調べるために髄液検査が行われることもあります。この検査では腰に針を刺して髄液を採取し、クリプトコックスが感染していないかを調べます。

