クリプトコックス症の治療
クリプトコックス症の治療には抗真菌薬という、真菌に対する抗生物質を用います。どの抗真菌薬を使うかや治療期間は感染した部位や患者さんの免疫状態によって変わります。
脳や中枢神経に感染した場合
抗真菌薬はアムホテリシンBリポソーム製剤とフルシトシンを組み合わせて使います。症状によってはステロイドを併用することもあります。また、脳の圧が高いときには水を抜く処置や手術が必要になることもあります。
肺に感染した場合
主にフルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾールなどの抗真菌薬を使います。
治療の期間は、免疫が正常な人では約12週間、免疫不全のある人では約24週間が目安となります。特にエイズの患者さんは脳髄膜炎を起こしやすく危険なため、長期的に治療することが大切です。
クリプトコックス症になりやすい人・予防の方法
日本では、免疫不全のない人に発症する真菌の病気の中ではクリプトコックス症が最も多いとされています。
以前はクリプトコックス・ガッティによる感染は海外での発症が多いと考えられていました。しかし日本でも2007年に、北米で流行している株と同じ遺伝子型を持つクリプトコックス症が報告されました。その後、国内で感染・発症したと考えられる事例も見つかっており、国内でも感染する可能性は否定できません。
クリプトコックス症を確実に予防する方法はわかっていませんが、免疫不全のある人や糖尿病の患者さん、ステロイドの薬を飲んでいる人は注意が必要です。
参考文献
宮崎義継 et al.「Cryptococcus gattii感染症の取扱指針」 (国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト、最終閲覧日2025年8月29日)
小川聡 et al.「内科学書 = Standard textbook of internal medicine 2.感染性疾患 膠原病, リウマチ性疾患 アレルギー性疾患, 免疫不全症 呼吸器疾患 改訂第8版」 (中山書店、2013年) 77-79ページ

