
鈴鹿央士主演のドラマ9「リーガルビート -逆転の法廷-」(毎週金曜夜9:00-9:54、テレビ東京/Leminoほかにて配信)の第4話「善人装う詐欺男を罠に嵌めろ!/VSシングルマザーにつけ込む卑劣な詐欺男」が8月14日に放送された。周囲の環境を守るため、元凶である加害者ではなく、自分自身の落ち度ばかりを責め、被害も気持ちも飲み込んで事を収めようとする被害者の心理描写と、そのループから抜け出すことが次へ進む鍵となった展開に、SNSではさまざまな声が上がっていた。(以下、ネタバレを含みます)
■完全オリジナル脚本の痛快逆転リーガルドラマ「リーガルビート -逆転の法廷-」
吃音で思いを伝えられず悔しい思いをしてきた新人弁護士・泰地空(たいち・そら)は、ラップのリズムに乗れば言いたいことを思いのまま話せる特性を持っていた。そんな彼が、慈善事業に精を出す雪村明日実(小雪)の弱小法律事務所に拾われ、現実主義の先輩弁護士・星秀幸(稲垣吾郎)とバディを組み、現代社会の不寛容や政治家の闇に立ち向かうオリジナル脚本の痛快“逆転”リーガルドラマ。
主人公・泰地を演じる鈴鹿は、ゴールデン帯連ドラ単独初主演。稲垣と小雪は、2008年1月期放送の「佐々木夫妻の仁義なき戦い」(TBS)以来、18年ぶりの弁護士役での共演となる。
脚本は光益義幸氏、三浦駿斗氏、阿部凌大氏、監督は藤田直哉氏、市井昌秀氏。主題歌は高橋優の「鳥」。音楽はFace2fAKEが担当する。
第4話のゲスト俳優として、橋本マナミ、大貫勇輔、嶋田鉄太、稲川実代子、コウメ太夫、矢嶋俊作、山下タクロウ、村松和輝、やはぎのりこらが出演した。
■「ステルシング」被害に遭った橋本マナミ“美咲”、傷つけられた側なのに自責に終始
第4話は、シングルマザー・桐野美咲(橋本)の「自己決定権の侵害に対する慰謝料請求」という案件。避妊の約束を破られ、一度きりの関係で妊娠、さらに相手の男性から中絶費用の支払いを拒まれた美咲は、その後倒れて入院した際に流産していた。病院への支払いもままならない美咲を見かねた義母・桐野千枝(稲川実代子)たちは、孫の颯太(嶋田鉄太)を引き取ろうとする姿勢を強める。
問題の相手はIT企業の経営者・須崎恒一(大貫勇輔)で、かつて美咲の亡き夫・和史が経営していた工務店でアルバイトをしていた男性。7年ぶりに美咲のもとを訪れ、亡き和史に成功を報告したいという名目で近寄ってきた須崎に夫の形見のサッカーゲームを譲り、交流を重ねるうちに「この人なら」と思ってしまったと言い、「本当に…見る目がなかったです」と悔いる。
泰地とともに美咲の話を聞いた雪村は、避妊の約束を一方的に破る「ステルシング」は、海外では犯罪、日本でも民事上の不法行為として慰謝料を請求できる可能性があると説明。美咲が生活を立て直して前を向くためにも、まずは示談交渉をと後押しする。
しかし須崎は交渉に応じず、続く民事調停でも「避妊の約束なんて覚えていない」「彼女だって喜んでいた」と主張。さらに「裁判になったら颯太くんが“本当のこと”を知っちゃうよ」と、美咲が抱える秘密をほのめかす。それを聞いた美咲は、勝ち目があるにもかかわらず、「裁判は絶対ダメ」と怯えた様子になってしまう。
須崎はSNSにも「ワンナイトの相手が金要求してきた。皆さんも気をつけて!笑」と投稿。コメント欄には「ハニトラじゃん」「女って怖い」「被害者ぶるな」という誹謗中傷が並んでいた。裁判になればこうした誹謗中傷が美咲本人に降りかかるため、雪村も美咲の選択に理解を示す。しかし泰地は“本当のこと”に怯える美咲が気になるという。
そこで雪村は「正攻法にこだわってちゃダメかもね」とひと言。「勝てなければ誰も救えない。私たちは勝ちにこだわらなきゃいけないの。たとえ邪道なやり方でもね」と、美咲の状況を汲んだ最適解として、陰湿な須崎の弱みを押さえ示談交渉のテーブルにつかせる“目には目を”作戦を提案する。
雪村に、「いつになく熱くなってたね」と指摘する星。それを受け、雪村は「人の大事なものを触るなら、触ってもいいですか?って聞く。どうぞって言われたら、大事に丁寧に扱う。そういう人としての当たり前の配慮ができないやつは、コテンパンにやっつけないと」と軽やかに笑う。
■“人としての当たり前の配慮ができないやつ”に、力を与えてしまう自己犠牲精神
そんな中、美咲から依頼を取り下げるという連絡が。強豪チームから声がかかるほど才能に恵まれた颯太が、母親に負担をかけまいとサッカーを辞めてしまっていたのだ。これを知った千枝は、「大好きなサッカーを息子に我慢させて、惨めな思いさせて。あなた恥ずかしくないの?男遊びに夢中で、あの子のこと見えてないんじゃないかしら」と美咲を責める。
さらに和史が美咲をかばった事故で亡くなったため、千枝は「あなたは私たちから息子を、颯太から父親を奪った。颯太の将来まで奪わないで…!」と涙ながらに訴え、「(須崎との)事情を聞いて同情はします。だから、貸したお金は気にしなくてもいいわ。その代わり…みっともないから、もう争うのはやめなさい」と諭す。
泰地が「被害を訴えるのは、何もみっともないことじゃない!」と訴えるが、傷ついているはずの美咲は「もういいですから。お義母さんの言う通り、私が悪いんです。私がダメな母親だから…」と、すべてを自分のせいにし、自分が我慢することで事を収めようとする。
そこに颯太が帰宅し、「お母さんは悪くない!」と反論。「お父さんを死なせたのは、お母さんじゃなくて鉄パイプだよ!お母さんは何で何も言い返さないの?」「僕は惨めじゃない。我慢なんてしてない。いつも笑って、お腹いっぱい食べて、いつも楽しく暮らしてるよ!お母さんはダメじゃない!!」と涙声で訴え、一緒に暮らそうという祖母の誘いを強く拒絶する。
グラウンドでボールを蹴っていた颯太は、泰地に「お母さんは僕のことなら怒るのに、なんで自分のことだと何も言い返さないんだろう」「僕、お母さんと暮らさないほうがいいのかな。その方がお母さんももっと楽できるし…僕のせいでつらい思いしているから」と打ち明ける。幼い颯太も、母の自己犠牲精神を不思議に思いながら、自分が我慢することで事を収めようとしていた。
母子とは対照的に、自分の利益や都合のために他人を利用し、我慢を強いて何とも思わない須崎。SNSで成功者アピールをしているのは単なる見栄ではなく、事業が順調なふりをして追加出資を得るため。実際は事業はうまくいかず火の車、資金はとっくにショートしていた。
そんな状況で美咲に「和史さんに成功を報告したい」と近づいたのも、スタートアップ投資家・廣田郁夫(矢嶋俊作)が探しているレア物のサッカーゲームを和史が所持していたためで、「和史さんの形見。一生大事にする!!」という言葉は真っ赤な嘘。最初から廣田に献上するつもりだったのだ。
第二回調停では、泰地と星が証拠とともに須崎の嘘を次々と突きつける。そして出資を必要としている須崎の“弱み”につけ込み、サッカーゲームを取り返す裁判を起こしてすべてを明らかにすれば、出資者の印象を悪くできると告げる。
それでも「いいのか、息子に事故のこと知られても」と往生際の悪い須崎。実は7年前の和史の死は、美咲ではなく颯太をかばってのことだった。美咲は父親に憧れる颯太を思い、周囲の責めを一身に受けることになっても秘密を守り通していたのだ。それを利用していた須崎は、美咲の「でも、それはもういいんです」という言葉に「えっ」「…は?」と驚く。
「あの子には本当のことを話そうと思っています。だから、あなたの脅しはもう効きません。性加害を認めて、謝って。示談金を払ってください」と毅然と告げる美咲。須崎は、ついに自身の行為を認めて謝罪する。
そして、あらためて颯太に7年前の事故について話す美咲。颯太は、ボールを追いかけて倉庫に入ったこと、(事故後に)誰かが自分を抱きしめ、笑っていたことを覚えていた。
「お父さんもお母さんも、ただあなたを守りたかっただけ。だから颯太は何も気にしなくていいの」という美咲に、「あれ、お父さんだったんだね。ありがとう、お母さん。話してくれて」と颯太。
思わずギュッと抱きしめる美咲と、颯太の「離して」「絶対離さない」「やめてよ。恥ずかしいから」というやりとりを、遠くから見守る泰地。
その後、颯太は移籍先の強豪チームでサッカーを続け、10番を背負う大活躍。その傍らには、真実を知り、そろって応援するようになった千枝と美咲の姿があった。
■「テレビで扱いにくい話をよくまとめた」と評価、小雪“雪村”の過去を気にする声も
「あなたの体はあなたのもの/誰にも奪えない だからこそ思おう/守られる自己決定権/これは理想とかじゃなく大前提/なのに傷つけた側は/言い訳ばかり 並べてさらに脅しまで/密室を縦にノーダメージ/傷ついた側がなぜ自分のせいに/母と子ふたり相思相愛/一緒に暮らしたい 何が問題?/愛しているからこそ抱え込む真実 隠す真(まこと)」
という泰地のラップに象徴される今回の一件。SNSには「被害を受けた側ほど自分を責めてしまう残酷さ。須崎を追い詰める逆転劇より、美咲が自責から抜け出すまでが本筋」「自己犠牲は善とは限らず、問題を歪ませる原因になる」「擦り減らされ蔑ろにされそうな依頼人を守る泰地たち。尊厳の大切さを再認識させてくれる」といったコメントが。
また、「避妊、流産の補償とか、女性にはとても現実的な案件だけどテレビで扱いにくい話をよくまとめたと思う」「毎回、今取り上げることに意味がある題材なのがすごくいい」「いろいろと考えさせられるドラマだけど、優しさがいつも底にあって安心する」「いろんな要素が絡み合ってるのに、すっきり見やすく、且つ、複数の問題に関する法律知識も得られる。とても良き」といった声も。
さらに、今は法廷に立たず、慈善活動に精を出している雪村について、「雪村先生の『人の大事なものに触るなら…』の考え方好き」「冒頭で雪村さんから“ステルシング”という言葉が出てきて、今回はさすがに雪村さんが調停の場に立つのかな?と思ったけど違った。そこまでして雪村さんが表に顔を出さない理由は何なんだろうな」と気にするコメントも。
また、シングルマザーを演じた橋本に対し、「いつまでもお美しい…いや母になり、42歳のいま最もお美しいのかも知れませんね」といったコメントも寄せられていた。
◆文=坂戸希和美

