世界ユース選手権出場、アジア選手権優勝、国民スポーツ大会優勝…と驚くような数々の成績が並ぶのが、鳥取県が取り組む「鳥取ジュニアアスリート」たちの活躍。
このプロジェクトに参加した鳥取の子どもたちが、今次々と、全国、世界で羽ばたいているその理由と、プロジェクトの内容を取材してきました!
鳥取の港町で出会った
世界で活躍するセーリング選手の高校生!

鳥取県境港市。
水木しげるさんの故郷である妖怪の町で、ベニズワイガニ日本一の漁獲量を誇る、カニの町。
そして、これまでセーリング(ヨット)の世界大会が行われるなどセーリング競技の活発な地。

ここでお会いしたのが、鳥取ジュニアアスリートの一人、高校3年生の森山伊織さんです。

穏やかな口調でインタビューに答えてくれる、おっとりとした印象の森山さん。

7位の成績を残した
一見、激しいスポーツ競技が想像できませんが、森山さんこそ、2024年にセーリング競技でインターハイ優勝、そして今年は日本代表としてトルコで行われた世界選手権にも出場した注目の選手です。

写真左が森山さん
競技に使うのは、エンジンやモーターなどの動力を使うことなく、帆で受けた風の力のみで進むヨット。
海上に作られたコースにある、ブイ(目印)を決められた順番で回りながら、他の船との速さを競いあうレース競技です。

レースは、1レース35分~40分、風が弱い時には1時間に及ぶこともあるそう!その間、海の上で風を読み、相手とコースを読みあいながら、レースを進めていくため、森山さんはセーリング競技で一番必要なのは「忍耐力」と話していました。

今は、セーリング部のある境港市の境高校に通い、部活動として競技に打ち込んでいます。しかし、周りに競技者などがいないとなかなか始める機会のないセーリング。
森山さんがこの競技に出会ったきっかけこそ、鳥取県が行う「鳥取ジュニアアスリート発掘事業」でした。
鳥取ジュニアアスリート発掘事業とは?

2014年に鳥取県が始めた「鳥取ジュニアアスリート発掘事業」。
鳥取から、全国、世界で活躍する選手を育てることを目的にしたもので、主に競技人口が少なかったり、普段体験しにくい競技が対象となっています。

毎年100人前後の小学4年生がエントリーしていて、2024年度には55人が候補生として最終合格。
候補生となった子どもたちは、小学5年生の1年間専門家によるトレーニングや、育成プログラムを無料で受けることができるようになります。

また、セーリングやクライミング、テニスや馬術など、対象となっている18の競技の体験会への参加も可能。自分のやりたい・向いている競技を見つけたうえで、小学6年生から競技団体の指導を受けることになります。

鳥取県のホームページには、ジュニアアスリートたちの活躍がまとめられていますが、鳥取県で暮らす中学・高校生の子たちが全国大会で、そして世界大会で活躍した輝かしい成績がずらりと並んでいます。
このような実績がしっかりと残せているのには、子どもたちが出会う機会が少ない競技に焦点を当てていること。そして、子どもたちが持つ、その子特有の力を、鳥取県と競技団体が一緒になって育てていることが大きな理由となっています。

森山さん自身も、セーリングに初めて出会ったのは、このジュニアアスリートでの体験会。
幼いころから、体を動かすことは好きだったものの、周りの友達たちが取り組む球技があまり得意でなかった森山さん。
「スポーツをしたいけど何をしたらいいのだろう…」と思っていた時に、学校で配られたチラシを見て、知らないスポーツができることが楽しそうと思い、ジュニアアスリートに応募。

いろいろな競技の体験会に参加し、中でも印象に残っていたのがセーリング。
周りに経験者もいなく「体験会で今まで知らなかったセーリングという競技に出会えたのは運命的でした!」と振り返ります。

小学6年生のときから競技団体の指導を受け始めた森山さん。
初めて乗った時に感じたスピード感がとても楽しく、今では、自然を相手にどうコースをとって進めていくか、考えながら行う競技性にも魅力を感じています。

