「食事制限しても下がらない」は危険?コレステロールが高い人の特徴

「食事制限しても下がらない」は危険?コレステロールが高い人の特徴

家族性高コレステロール血症の基本的な定義と、一般的な高コレステロール血症との違いについて解説します。生活習慣を見直しても数値が下がらない背景には、遺伝子変異によってLDL受容体が正常に機能しないという仕組みが関係している可能性があります。ヘテロ接合体型とホモ接合体型の2つのタイプや、早期発見がなぜ大切なのかについても、順を追ってご紹介します。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

家族性高コレステロール血症とはどのような病気か

このセクションでは、家族性高コレステロール血症の基本的な定義と特徴について解説します。「コレステロール値が高い」と一口に言っても、生活習慣による高コレステロールと、遺伝子変異を原因とする家族性高コレステロール血症とでは、背景となるメカニズムが大きく異なります。まずは基礎的な理解を深めることが、適切な対策への第一歩になります。

LDLコレステロールが下がりにくい仕組み

家族性高コレステロール血症とは、遺伝子の変異によって血液中のLDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)が生まれつき高い状態を指す疾患です。通常、肝臓はLDLコレステロールを受け取るための「LDL受容体」という仕組みを持っており、血液中を流れるLDLコレステロールをこの受容体がキャッチして取り込むことで、血中濃度を一定に保っています。
ところが家族性高コレステロール血症の方では、この受容体に関わる遺伝子に変異があるため、受容体がうまく機能しません。LDLコレステロールを取り込む機能が低下した結果、血液中にLDLコレステロールが蓄積し続け、食事や運動などの生活習慣を改善しても、なかなか数値が下がらないという状態が続くのです。
この「下がりにくさ」が家族性高コレステロール血症の大きな特徴であり、同時に見落とされやすい理由でもあります。健康診断の数値が高く出ても「食生活の問題」と見なされ、適切な診断や治療が遅れるケースも少なくありません。

ヘテロ接合体とホモ接合体の違い

家族性高コレステロール血症には大きく2つのタイプがあります。ひとつは「ヘテロ接合体型(ヘテロ型)」で、両親どちらか一方から変異遺伝子を受け継いだ場合です。もうひとつは「ホモ接合体型(ホモ型)」で、両親双方から変異遺伝子を受け継いだ場合にあたります。
ヘテロ型は日本人では約200〜500人に1人の割合で存在するとされており、国内に数十万人規模の方がいると推計されています。一方のホモ型はさらに希少で、約16万〜30万人に1人
程度の頻度とされています。ホモ型は幼少期から重い症状が出る傾向にありますが、患者数が多い「ヘテロ型」であっても、一般的な高コレステロール血症と比べると若い頃から心筋梗塞などを起こすリスクが非常に高いため、決して油断はできません。
ヘテロ型であっても、LDLコレステロール値は正常範囲をはるかに超えることがあり、特に未治療のまま放置すれば動脈硬化が進行しやすくなります。タイプによって治療の方針や強度が変わってくるため、遺伝子変異の有無とともに、どちらのタイプかを把握することが診療においても重要です。

早期発見が大切な理由

家族性高コレステロール血症で特に注意が必要なのは、自覚症状がほとんどないという点です。血液中でLDLコレステロールが増え続けていても、痛みやだるさといった症状が現れることは少なく、気づかないまま長年にわたって動脈硬化が進行してしまうことがあります。
その結果として、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった深刻な心血管疾患のリスクが高まることが知られています。一般的な高コレステロール血症と比べても、これらの疾患を発症するリスクが高いとされており、早期に発見して適切な治療を開始することが、将来の健康を守るうえで大切です。家族の中に若くして心疾患を患った方がいる場合や、健康診断でLDL値が高い状態が続いている場合には、一度専門の医師に相談してみることが望まれます。

まとめ

家族性高コレステロール血症は、遺伝的な原因によってLDLコレステロールが高い状態が続く疾患です。自覚症状が乏しいため気づかれにくいですが、放置すると動脈硬化が進行し、心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。食事や運動による生活習慣の改善とともに、スタチン系薬剤をはじめとした薬物療法が治療の柱となります。女性の場合はホルモンの変化が大きく影響するため、ライフステージに応じた管理が重要です。気になる症状や家族歴がある方は、内科や脂質代謝内科への相談を検討してみてください。

参考文献

日本動脈硬化学会「家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022」

国立循環器病研究センター「家族性高コレステロール血症について」

厚生労働省「79 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)」

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」

国立循環器病研究センター「脂質異常症」

配信元: Medical DOC

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