「ビールの飲みすぎ」だけじゃない?高尿酸血症に『なりやすい人』の特徴

「ビールの飲みすぎ」だけじゃない?高尿酸血症に『なりやすい人』の特徴

血液中の尿酸値が高い状態、つまり「高尿酸血症」は、自覚症状がないまま静かに進行することがあります。健康診断で初めて指摘される方も少なくありません。なぜ尿酸値は上がるのか、どのような状態が「高い」と判断されるのか、基本的な仕組みから丁寧に解説します。原因を正しく知ることが、適切なケアへの第一歩となるでしょう。

田中 茂

監修医師:
田中 茂(医師)

2002年鹿児島大学医学部医学科卒業 現在は腎臓専門医/透析専門医として本村内科医院で地域医療に従事している。
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学

高尿酸血症とは何か:基本的な仕組みと原因

高尿酸血症とはどのような状態なのか、まずその基本から整理しましょう。血液中の尿酸値が一定の基準を超えた状態を高尿酸血症と呼び、痛みが全くない自覚症状のないまま静かに進行することも少なくありません。なぜ尿酸が体内で増えてしまうのか、そのメカニズムを理解することが、将来の痛風や合併症を防ぐための第一歩となります。

尿酸とプリン体の関係

尿酸とは、「プリン体」という物質が体内で代謝・分解されたときに生成される最終的な老廃物です。プリン体はお酒(ビールなど)や肉・魚などの食品に含まれているだけでなく、私たちの体を構成する細胞の核(DNAやRNAといった遺伝情報)の新陳代謝によって古い細胞が分解される際にも常に体内で作られています。つまり、食事から摂取する量だけでなく、体内で自然に作られるプリン体の量も血液中の尿酸の総量を大きく左右します。
健常な体内では、生成された尿酸の約70%が腎臓を経由して尿と一緒に体外へ排泄され、残りの約30%が便や汗(腸管など)から排泄されることで、体内の尿酸量は絶妙なバランスで一定に保たれています。しかし、何らかの原因で尿酸の産生量が増えすぎたり、腎臓などからの排泄機能が低下したりすると、血液中の尿酸濃度が徐々に高くなっていきます。この状態が長く続くと、溶けきれなくなった尿酸が鋭い結晶(尿酸塩結晶)となって関節や腎臓などの組織に沈着し、激痛を伴う発発作や深刻な健康障害を引き起こす原因となります。

高尿酸血症の診断基準と分類

高尿酸血症は、性別や年齢を問わず、血清尿酸値が「7.0mg/dL」を超える状態と明確に定義されています。この「7.0mg/dL」という数値は、体温(37℃前後の血液)において尿酸が液体のまま溶けていられる物理的な限界値(飽和溶解度)です。これを超えると、例えるなら砂糖水に砂糖が溶けきれず沈殿するように、血液中で尿酸が結晶化しやすくなることが知られています。なお、痛風による激しい関節痛などの自覚症状がまったくなくても、数値が7.0mg/dLを超えている時点で高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症は、その発生原因によって大きく3つの病態タイプに分類されます。
1つ目は体内で尿酸が過剰に作られる「産生過剰型」、2つ目は腎臓からの尿酸排泄機能が落ちる「排泄低下型」で、日本人患者の約60〜80%を占める最多タイプとされています。3つ目は両方の原因が重なった「混合型」です。原因となるタイプによって、尿酸の生成を抑える薬(尿酸生成抑制薬)を使うか、排泄を促す薬(尿酸排泄促進薬)を使うかといった治療薬の選定が異なるため、服薬治療を始める前に血液検査や尿検査でタイプを正しく判定することが重要です。
また、特定の原因疾患を持たない「原発性高尿酸血症」と、腎臓病・血液疾患・特定の薬剤(利尿薬など)の副作用によって二次的に尿酸値が跳ね上がる「続発性高尿酸血症」にも分類され、続発性の場合は原因となる元の病気の治療や服薬の見直しが最優先されます。
高尿酸血症そのものには痛みが伴わないため、健康診断の血液検査で初めて指摘されて放置してしまう方も少なくありません。しかし、高尿酸血症を放置すると、ある日突然足の親指などに激痛が走る「痛風発作」を起こすリスクが高まるほか、腎臓に結晶が溜まって腎機能が障害される「痛風腎(尿酸性腎症)」や「尿路結石」、さらには高血圧・脂質異常症・慢性腎臓病(CKD)といった生活習慣病の悪化にも密接に関連しています。数値に異常が見られたら放置せず、早期に食事・運動などの生活改善や医療機関への受診を始めることが、体全体の健康を守るうえで極めて重要です。

まとめ

高尿酸血症は、自覚症状がないまま進行しやすい状態ですが、食事・運動・水分摂取などの生活習慣の見直しと、必要に応じた薬物療法によって尿酸値をコントロールすることが可能です。尿酸値の目標は6.0mg/dL以下が基本であり、プリン体やアルコールの摂取量を適切に管理することが改善への近道となります。気になる症状や数値の変化があれば、まずは内科などの医療機関に相談することをおすすめします。

参考文献

日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」

厚生労働省「高尿酸血症」

日本腎臓学会「エビデンスに基づく CKD診療ガイドライン 2023」

配信元: Medical DOC

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