
9月19日(土)に開幕する「アジア大会 愛知・名古屋」。TBS系では、1994年の広島大会以来32年ぶりの日本開催となる同大会の模様を連日生中継する。このほど、TBSスペシャルアスリートアンバサダーの石川佳純と、卓球女子日本代表・張本美和選手との対談が実現。併せて、“新旧日本女子のエース”同士によるラリーも行った。
■“アジア48億人の頂点”を決める戦いが名古屋で開催
4年に1度開催されるアジア最大のスポーツの祭典「アジア競技大会」(以下、アジア大会)。各競技で“アジア48億人の頂点”を決める戦いが繰り広げられていく。
記念すべき20回目となる今大会は、32年ぶりの日本開催が実現。サッカーW杯、バレーボール・ネーションズリーグの盛り上がりも冷めやらぬ中、9月は愛知・名古屋から各競技の熱戦の模様を伝えていく。2023年に行われた前回の中国・杭州大会で、日本選手団は計188個(金52、銀67、銅69)のメダルを獲得。今大会はその数字を上回れるのか期待が高まっている。
アジア大会の特徴は、何と言っても五輪を凌ぐ競技・種目の数。2028年のロサンゼルス五輪では35競技の実施を予定しているが、今大会は実に43競技・469種目を実施。野球・ソフトボール、柔道、レスリングといったメダル期待の競技だけでなく、普段目にすることの少ない競技に触れられるのも大きな魅力だ。
今大会は、鬼ごっことドッジボールが融合したようなカバディや、足だけを使うバレーボールのような球技・セパタクロー、徒手だけでなく剣や槍なども用いる武術太極拳など、アジア各国のお国柄が現れた競技だけでなく、eスポーツやコンバットスポーツといった新たな競技も実施される。
そして、近代五種ではTBSの人気番組「SASUKE」をベースに誕生した障害物レース「オブスタクル」が新種目として採用。ロサンゼルス五輪でも満を持して採用されるこの種目がどのような形で行われるのか、ひと足早くチェックできるのも大きな見どころとなりそうだ。
■4種目へ出場する今大会は「楽しめるような気分では全くないです」
世界ランク3位・日本女子トップの張本選手にとって、アジア大会は前回の中国・杭州大会に続く2度目の出場。自国開催の今大会では、シングルス・団体・女子ダブルス・混合ダブルスの4種目に出場予定だ。個人のシングルスがなかった前回とは、大会に懸ける思いも大きく変わったと明かす。
「前回、初めて出場させていただいたときは、いい意味で楽しんでしまって。選手村で自転車を漕いだり、ご飯もピザやケンタッキーがあったりで、結構ルンルンで行っていました。でも今回は4種目に出させていただくので、そんな気分では全くないです」
自国開催の大舞台に懸ける目標は明確だ。
「4種目に出させていただくので、まずは健康に一大会を終えられるように。そして最低限メダル、でもやっぱり4種目で金メダルを取れるように頑張りたいです」

■世界女王との対戦に「次はもっと自分から攻める気持ちで」
世界の頂点を追う張本選手にとって、大きな手応えとなったのが世界卓球選手権だった。それまで勝てなかった王曼昱(おう・ばんいく)選手を破った一戦。その勝因を、技術ではなくメンタルに置く。
「メンタル的なものが自分の中では一番大きくて。今まで勝ったことのない選手だったので、どうしても『やりたくない』となってしまっていたんですけど、世界卓球選手権のときは全然違って、『本当にやるぞ』という気持ちだった。1ゲーム目を取った後に『今日はチャンスがある』と思えました」
今季は全日本選手権でシングルス優勝を含む史上初の4冠を達成し、日本ランキングでも1位に立った。それでも、本人の言葉は驚くほど冷静だ。
「4冠を獲れて史上初というのは、もちろん嬉しいです。ただ、一般シングルスはやっと3度目の正直での優勝だったので、大きな自信になったというよりは、『やっと優勝できて安心』という気持ちの方が強かったです。本当に一歩一歩だなと」
一方、世界女王・孫穎莎(そん・えいさ)選手との対戦では、自身の現在地も冷静に見つめている。
「隙がないのはもちろん、『同じ土俵に立っていない』という感覚が一番ありました。1点取ってもラッキーみたいな感じで。次に当たるときは、観客のような気分ではなく、もっと自分から攻める気持ちで入りたいです」

■張本とのラリーに臨んだ石川がチキータの威力を絶賛
今回、石川佳純は対談だけでなく、張本選手とラリーも共にした。久しぶりにラケットを握った石川は「久しぶりすぎる!」「楽しいです!」と声を弾ませる。張本選手の打球を受けると、その威力に「パワーついたね!」と目を見張った。
速いラリーの応酬から、コースを瞬時にストレートへ変える――。張本選手はその繊細な技術を的当てで実演し、狙った的を一発で射抜いてみせた。さらに、2色に塗り分けたボールで回転を可視化しながら、1本目から攻めるチキータを披露。その威力に、石川も舌を巻いた。
「これ、すごいスピンでしょ! なかなか女子の選手で、1本目からこんなに攻撃的にチキータをする人はいないんです」
その進化を肌で感じた石川が、対談で掘り下げたのは、強さを支えるものの正体だった。同じ卓球界を歩み、大舞台のプレッシャーを知る先輩だからこそ、勝ち負けの先にある心の支えにまで話が及んだ。真っ先に挙がったのは、家族の存在。ベンチコーチを務める父、ともに日本代表として戦う兄・張本智和選手、そして生活を支える母だ。
「1人で試合会場にいたら、自分だったら耐えられないだろうなと思うこともあるので、家族が一番の心の支えです」
とりわけ、兄・智和選手への思いは深い。
「お兄ちゃんとしてすごく誇りに思いますし、尊敬する部分がある選手。たまに贅沢だなと思うくらい、お兄ちゃんの妹になれている自分がすごく嬉しいです」
女子ダブルスでペアを組む早田ひな選手への信頼も口にした。練習で進化を体感し、対談で素顔に触れた石川は、次代を担うエースの成長に目を細めた。


