数年前、私がまだ営業部に所属していたころのことです。直属の課長は、年上の部下に対して妙にマウントを取りたがるタイプでした。
マウント上司の標的に
年齢や社歴を持ち出しては、「俺は若いころ、もっとやっていた」「だからお前は使えない」などと、日常的に心ない言葉を投げつけてきました。私もその“標的”のひとりでしたが、当時はただ耐えるしかありませんでした。
ある日、外出前の朝礼で課長が私の資料に目を通すと、吐き捨てるように言いました。
「こんなもん、老人の仕事だな。今どきの営業じゃない」
その言葉に、さすがにカチンときました。しかし、ここで感情的になれば自分が不利になると考え、私は必死にこらえました。周囲も気まずそうに視線をそらし、その場は静まり返っていました。
決定打となった車内での暴言
翌週、若手社員との同行営業から帰社した直後、停車中の車内で課長が信じられないひと言を放ちました。
「60歳にもなって現場でチョロチョロしてんじゃねえよ。もう現役引退しとけって話だよな」
若手社員は苦笑するしかなく、車内は凍りつくような空気に包まれました。その瞬間、私はさりげなくスマートフォンの録音ボタンを押しました。
その後、録音内容を整理して総務課に連絡し、ハラスメント対策委員会にも報告しました。後日、録音を聞いた部長の表情が一変したのを、今でもはっきり覚えています。

