
買い物へ出かけたはずの妻が、いつの間にか家へ戻っている。しかし扉の陰から半身だけをのぞかせ、ただ「来て」と呼び続ける。その異様な光景が、静かに日常を侵食していく。一話完結のホラー漫画『僕が死ぬだけの百物語』は、先の読めない展開とじわじわ迫る恐怖で、「今まで読んだホラー漫画で一番怖い」「ゾッとした」と大きな反響を集めている。
■妻、警察、粘土細工…日常に潜む不気味な恐怖



漫画家・的野アンジ(@matonotoma)さんが「少年サンデーS(スーパー)」と「サンデーうぇぶり」で連載する本作は、少年が百物語を語る構成で進むオムニバスホラーである。SNSで公開された試し読みも大きな話題となり、不気味な空気感と予測不能な結末が多くの読者を震え上がらせた。
第1話では、牛乳を買いに出かけた妻が奇妙な様子で帰宅し、夫の目の前で常識では説明できない出来事が起こる。さらに、警察官や粘土細工など、身近な存在が恐怖へ変わる物語が続き、連載では語り部・ユウマくん自身の謎も少しずつ明かされていく。
■作者が語るホラーの魅力
的野さんによると、本作は以前手掛けたホラー作品『穴の家』への反響がきっかけで誕生したという。怖い状況にいると「あらゆる物や音が気になってしまう」といい、そのとき目に入ったものから「どんな怖いことがあったら嫌か」を想像して物語を膨らませることが多いそうだ。
また、以前はホラーそのものに苦手意識があったものの、創作を続ける中で「人の心をこんなにも揺さぶり、それでも思わず見てしまう力」を持つジャンルだと実感し、その魅力に引き込まれていったと語る。
■「何かが来る」時間こそ最も怖い!
恐怖を描くうえで最も重視しているのは、怪異そのものではなく「今にも何かが現れるのではないか」と待ち続ける時間だという。そのため、怪奇現象以上に、恐怖で汗を流し追い詰められる人間の姿を丁寧に描くことを意識しているそうだ。
また、郵便受けや鏡など誰にとっても身近なものを題材にすることで、「漫画の中だけの出来事」で終わらず、読後にも思い出して嫌な気持ちが残る作品を目指している。
■違和感が積み重なる百物語
ユウマくんの物語も今後少しずつ全貌が見えてくるという。「一度目は気に留めなかったことも、幾度か読むうちに違和感に気がつくかもしれません。毎回のお話と共に観察し、楽しんで頂ければ幸いです。第一巻、よろしくお願いいたします」と読者へメッセージを寄せた。
■取材協力:的野アンジ(@matonotoma)
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