小田切ヒロ、つらい過去やトラウマはあえて手放さない「生き様すべてが武器になっていると気づいた時がチャンス」

小田切ヒロ、つらい過去やトラウマはあえて手放さない「生き様すべてが武器になっていると気づいた時がチャンス」

小田切ヒロ
小田切ヒロ / ※提供写真

7月31日からPrime Videoで独占配信中の「ビューティバトルロワイヤル」は、メイクアップアーティストを目指す原石たちがNo.1をかけてメイクにかける熱い想いと技術を競い合う新感覚の番組。美が生み出すのは、見た目の変化だけではなく、人生の変化であるという本質を伝えることをコンセプトにドラマティックに展開していく。チェアマンを務めるヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロに今作の魅力を語ってもらった。

■若手のレベルの高さに圧倒「今の時代ならではと感じた」

――まずは、愛のある厳しい視点で参加者たちを導くチェアマンとしての出演が決まった時の心境からお聞かせ下さい。

若手のメイクアップアーティストの皆さんがこの番組をきっかけに世に見つかって、世界に羽ばたくチャンスですので、そのチャンスの後押しができればなというところで、責任感とワクワク感、いろんな気持ちを持って、有難くお引き受けしました。

――プロ活動を始めて5年目以下か、30歳以下の若手の方が自分たちの持つ技術とセンスで競い合う姿を見てどんなことを感じましたか。

時代が変わったなと感じました。若手でキャリアが浅くても、メイクアップに挑むパフォーマンスも作品においても、本当にレベルが高くて。やはりSNS時代なので、簡単に情報を仕入れることができますからね。学校に行ったり、アシスタントについたりしなくてももう実践の現場に出ている方もいらっしゃって、レベルの高いものが作れるっていうのは、今の時代ならではと感じました。

――小田切さんの新人時代と今は違いますか?

私たちの時代は、裏方で自分の姿を着飾るなと言われて、黒子に徹していましたから。今の若手はメイクアップアーティスト自体がもう日を浴びているお仕事ですので、自分自身がどう見られるか、ちゃんと計算した上でパフォーマンスができるのは素晴らしいこと。その分、人生のバックボーンを話せなかったら通用しない時代になったという点では、ちょっと厳しい時代になったと思います。

■アドバイスは「嫌われてでもいいからちゃんと伝える」

――今回、若手の皆さんに番組でアドバイスをするにあたって大切にされたことはどんなことでしょうか。

褒めることも大切ですけど、その子に必要なことをズバリ言ってあげることです。できていることは、それで終わりですけれども、改善点を指摘して、導くようにしています。

――そういった的確なアドバイスは、若手にとって財産になりそうですね。小田切さん自身は、新人の頃に先輩から受けたアドバイスで印象に残っていることはありますか。

修行時代は「黒子は黙って後ろについておけ」といった感じでしたからね。言葉で育った人間ではなくて、目で見て育った時代。先輩の動きをじっと見て、喋るなと教えられました。でも、私は当時、自分がしてもらいたかったことを今の若手にしています。ちゃんと分かりやすく、無駄がないように、合理的に言葉で伝えながら早く成長ができるように伝えています。嫌われてでもいいからちゃんと伝える…それは私の中で守っていることですね。

――番組を通して、新人時代の自分を思い出す場面もあったのかなと思うんですけど、どうやって技術を磨いてきましたか。

情報を仕入れに行くためには図書館に行ったり、書店で過去のアーカイブを探したり、洋書を読んだり。合理的ではなかったです。今はパッと SNS で全部細かく収集できるので、かなり時短になっているので、羨ましいです。とはいえ、自分の足で動いて、なけなしのお金で洋書を買って、勉強したことが今の私の財産になっていますからね。

今の子たちは、合理的になった分、インプットしたことをちゃんと自分のものにできるのか、意識次第だと思います。どれだけ夢を明確に持って、ちゃんと目的に向かって突き進む力があるか。成長できる素晴らしいメイクアップアーティストになるためには高い意識を持つことが必要です。

――技術はもちろん、メイクにかける熱い情熱をもっているかも大事になってきそうですね。

そうですね。今回はメイクバトルなんですけれど、何かを目指して頑張っている人たちに刺激を感じてもらえる熱いバトルになっています。メイクの仕上がりのバトルではなくて、アーティスト一人ひとりの核、バックボーン、個性というところをしっかりと審査していますから。若者だけではなくて、大人になってちょっと人生が漠然としちゃっている人、キャリアを重ねてきてこれからの人生どうしようと思っている人にも世代を問わず、観て頂きたいです。

――職業や置かれている環境が違っても、いろいろな気づきがありそうですね。小田切さんはどのように夢を叶えてきましたか。

自分の場合は、年代ごとに志す目標やマインドが違いました。20代の頃はやっぱりもがきながら、「誰かに負けたくない」という気持ちだったり、自分の過去のトラウマだったり、苦しみと隣り合わせで生きていましたので。生きることで必死な中に自分の夢がありました。30代になってからは独立し、そこからやっと自分の人生が始まって。40代になってからは夢が広がりまして、社会に対してどれだけのことを訴えられるか。美容業界の歴史が変わっていくタイミングで自分自身が何か貢献したい。そんな大きなビジョンを抱くようになっていきました。

今回の番組は、日韓プロジェクトですので、グローバルで展開されることで若手の皆さんに夢とチャンスを掴んで欲しいです。私自身は、今後は日本の美容業界から世界に発信していく役割を果たしていきたいですね。

■つらい過去に蓋をせず活かす「全部武器にしています」

――小田切さんは日本を代表するヘア&メイクアップアーティストとして頂点にいる存在ですが、感性を磨くためにどんなことをされていますか。

もう昔と変わらないです。常に新しいことに敏感でいることと、感性がフレッシュな若い子たちとコミュニケーションをとるようにしています。SNSもちゃんとチェックしつつ。感覚が鈍らないように、自分が古くならないように心掛けていますね。

――進化を止めない姿勢に脱帽です。その原動力は、メイク愛ですか?

愛というより、私はメイクに救われた人間で、メイクと共存してメイクと共に生きていかないと生きていけない人間だと思っています。人生の中で苦しんでいる人だったり、トラウマを持っている人だったり、コンプレックスを持っている人に伝えたい。「そんな気持ちで生きていたら、いつまでもつらい気持ちを抱えたまま、人生が終わってしまいますよ」って。私はメイクがきっかけで、ちょっと明るい人生になったので、皆さんにもメイクで気持ちが上向くきっかけを見つけてほしいです。

――テレビ番組でも小田切さんにメイクしてもらった方が急に自信を取り戻す姿がまるで魔法のようで、そのメイクのパワーに毎回感動しています!

でも、ただの魔法じゃいけないんですよ! 魔法はかけられるんですけど、魔法を理解してもらわないと自分に魔法をかけられないので、私はメイクを教える時、かなり理論的にお話をしています。メイクってなんとなくやると、なんとなく変なんです。ちゃんと理論立てて、なぜここにこれを付けるのか、ちゃんと意味を持って成したメイクをしないと納得できる顔にならない。

そして、メイクアップを上達させるためには、やっぱり何回もトライをして、何度も失敗を経験する…。その失敗の中に必ず何かいいポイントを見つけることができると思います。そうすれば、ちゃんと自分の納得いく着地が見つかります。それって人生と一緒ですよね。

――メイクを見れば、その人となりも分かりますか?

その人の生き様や人生が全部メイクアップに出ますので。出ていますよ、全部!(笑)。こんなことを悩んでいるんだろうなとか。そもそもしぐさや素振り、目線でも全部分かります。私は、幼少期からの生い立ちもあって、人が何を考えているのか常に考えながら生きてきましたので。自分が生きやすい抜け道をちゃんと考えて見つけながら生きる中で、人の動きや行動や仕草によって、何を考えているか分かるようになったんです。

――つらかった時代を乗り越え、いろんなことを払拭して、今に活きていることがたくさんあるんですね。

払拭はせず、むしろ活かしています。過去に蓋をせず、私は全部武器にしています。コンプレックスや自分のトラウマを解消しようとする方多いと思うんですけれども、そんなもったいないことはないわよ。自分の辛いこと、嫌なもの、傷をなくしたら、人生の経験を捨てちゃったのと同じ。経験を活かさないとその人の個性も出ませんし、むしろ、辛い経験があった方がラッキーかと。今までの生き様すべてが自分の武器になっていると気づいた時がチャンスだと思いますよ。

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