
奥平大兼が主演を務める8月24日(月)スタートの夜ドラ「税金で買った本」(毎週月〜木曜夜10:45-11:00、NHK総合)。ずいの・系山冏による同名コミックをドラマ化した本作は、どこか満たされない心を抱えていたヤンキー高校生・石平紀一(奥平)が、10年ぶりに訪れた図書館で始めたアルバイトをきっかけに、知る喜びに出会う姿を描いていく。
主人公の石平を取り巻くキャラクターにも個性豊かな面々が集結。石平に仕事を教える一般図書係の非正規職員・早瀬丸小夜香(はやせまる・さやか)役を西野七瀬、資料係の弁償・修理担当で本と図書館を守るために日々筋トレに励む非正規職員・白井里雪役を青木マッチョが演じる。さらに、幼い頃の紀一に知らないことを知る楽しさを教えた父親役に平山浩行、昼はお弁当店、夜はスナックで働くシングルマザーの母親・石平りょうこ役には矢田亜希子が名を連ねる。
WEBザテレビジョンでは本作が連続ドラマ初主演となる奥平大兼にインタビューを実施。これまでにない明るい役への挑戦、撮影を通して感じた“本と図書館”の奥深い魅力など、思いを語ってもらった。
■気負わず臨む連ドラ初主演作品「チームみんなで」
――今作のオファーを受けたときのお気持ちと、原作を読んだ際の印象を教えてください。
お話をいただいたときに作品を知ったのですが、実際に原作を読んでみると、すごく人気がある理由がよく分かりました。とにかくキャラクターがびっくりするくらい個性豊かで、1話完結のオムニバス形式のようにテンポよく読みやすかったです。図書館の裏側を普段あまり知る機会がないので、純粋に面白い上に勉強になるなと感じました。僕自身、これまでの活動の中でこういった明るいコメディ調の作品をやらせていただく機会があまりなかったので、「こういう役ができるのかな」というちょっとした不安もありつつ、すごく楽しみな気持ちでした。
――演じる石平紀一はヤンキー高校生ですが、役作りはどのように進められましたか?
本格的なヤンキー役を演じるのは初めてだったんです。原作の紀一からイメージを汲み取らせていただきながら、実写化ならではの『税金で買った本』を作るために、監督と話し合いながらバランスを探っていきました。原作の紀一はどこか昔ながらの王道ヤンキー感があったので、今の時代になじむ“今っぽさ”を少しプラスしたくて。髪型も全体を金髪にするのではなく、メッシュを入れたスタイルにしたり、セリフの言い回しも現場で皆さんと相談しながら調整させてもらいました。
でも、演じていく中で感じたのは、彼は単なるヤンキーというよりも、とにかく好奇心旺盛で、ものすごく自由で純粋な子だということです。気になることがあったら絶対にその答えを知りたいという、純粋な探求心を持っていたからこそ、個性豊かな図書館メンバーの中にも自然と馴染んでいけたのかなと思っています。
――今作が連続ドラマ初主演となりますが、プレッシャーなどはありましたか?
変に肩ひじを張って「自分が引っ張っていかなきゃ」と気負うような感じは、良い意味で全くなかったです。主演ではありますが、僕ひとりだけで戦うものではないですし、チームの皆さんと一緒にやっていけば思い悩む必要はないかなと思っていました。現場で迷ったときはスタッフさんや共演者の皆さんに助けていただきながら進められましたし、自分にとってすごく思い出深い大切な作品になりました。

■西野七瀬の柔軟性に感謝 青木マッチョの“真摯な姿勢”に受けた刺激
――現場での座長としての振る舞いについてはいかがでしたか?
“座長が現場を盛り上げてチームを引っ張る”というイメージは僕自身の中にもありましたが、僕はそういうタイプではないですし、あえて無理に盛り上げずとも、心地よく撮影が進んでいく現場でした。現場のムードメイクは他のキャストの方々も自然とやってくださっていて、本当にありがたかったです。共演者同士、すごく居心地の良い、ほんわかとした空気感の中で撮影が進んでいました。
――共演された西野七瀬さん、青木マッチョさんの印象を教えてください。
西野さんは、僕が現場で自由に演じさせていただいたのを、すごく柔軟に受け止めてくださって、本当に頭が上がりません。役としての芯を保ちつつ受け止めてくれる姿が、ご本人の人柄とも重なって、早瀬丸さんとしても完璧なバランスだなと思って見ていました。
白井役の青木マッチョさんに関しては、実はキャストが決まる前にマネージャーさんと「白井役って青木マッチョさんしかいないですよね」って話していたんです。そうしたら本当にマッチョさんに決まって、すごくびっくりしました(笑)。
普段バラエティを中心に活躍されている方がお芝居の現場に入るのって、すごく勇気が要ることだと思いますし、アウェイ感もあったと思うんです。でも、マッチョさんは自分の役にすごく真摯に向き合っていて、現場に入る前に台本をめちゃくちゃしっかり読み込まれていて。そのお仕事に対する誠実な姿勢は見習わなきゃなと刺激を受けましたし、僕のアドリブにも真っすぐ応えてくださったのがうれしかったです。
――母親役の矢田亜希子さんとのご共演はいかがでしたか?
矢田亜希子さんとはご一緒するシーン自体は短かったのですが、クランクイン前から「楽しみにしているね」と言ってくださっていたのがとても光栄でした。矢田さんには底知れない明るさがあり、紀一のお母さん役としてもすごく説得力があって、撮影中の大変な時期にも癒されました。短い時間でしたがとても印象に残っています。

■知らないことを知る楽しさ――本や図書館へのイメージの変化
――劇中では、図書館の仕事の知られざる裏側がたくさん描かれます。奥平さん自身、新しく知って驚いたことはありますか?
一番印象的だったのは本棚からの本の取り方です。よく背表紙の上の部分に指を引っかけて引っ張り出してしまうと思うのですが、あれをやると背表紙が痛んでしまうそうなんです。劇中で正しい取り方を教わってからは、普通に背表紙を引っ張ることにすごい罪悪感を覚えるようになってしまって(笑)。本を大切にするための作法や所作があるんだなとすごく勉強になりました。
あとは、本の分類番号ですね。動物や歴史など、ジャンルごとに番号が振られていて、全国ほとんどの図書館でその分類番号を見れば大体どこに何があるかわかる。今まで意識したことがなかったシステムだったので、知らなかっただけで、世の中にはこんなに便利なルールがあるんだと驚きました。
――紀一は気になることがあれば追求するという真っすぐな性格ですが、奥平さんご自身と共通する部分はありますか?
知らないことがあったらとにかく知りたくなるという好奇心の強さは、すごく共感できます。紀一は良い意味でハードルが低くて、気になることがあれば変に考えすぎずにすぐ行動に移せる。大人になるとどうしても色々と気にしてしまって結局行動しないことも多いと思うのですが、彼のその純粋さや行動力は見習いたいなと思います。
――ちなみに、奥平さんご自身の読書体験や、思い出に残っている本はありますか?
今まであまり本を読む習慣がなく、学生時代の図書館も本を借りる場所というより試験勉強をする場所というイメージが強かったんです。子供の頃は映画や音楽に触れる機会の方が多くて。ただ、洋服がすごく好きなので、ファッション誌やブランドのコレクション集といったビジュアルブックは昔からよく開いていました。自分の今の“服好き”を作ってくれた根底には、そういった服飾関連の本があったなと感じます。
小説でいうと、原田マハさんの作品がすごく好きです。初めてこの作者さんの作品を追いかけて読みたいと思った存在です。実は今年に入ってから、このドラマへの出演をきっかけにもっと本を読もうと思って読み始めているのですが、やっぱり本でしか得られない知識や面白さがあるなと日々感じています。生きていく上で絶対に必要というわけではないかもしれないですが、そういう知らない世界を知ることこそが人生の豊かな楽しみなのだなと実感しています。

■1日の終わりの15分間 作品に込めた思い
――奥平さんは昨年『いつか、無重力の宙で』にもご出演されており、今回で2度目の“夜ドラ”枠となります。この枠に対する印象や魅力をどう感じていますか?
“夜ドラ”という枠には元々すごく良い印象を持っていたのですが、夜10:45からの15分間という時間帯って、一日の終わりにリラックスして見る方が多いと思うんです。ゆったりとした心地よいテンポ感で一日を終えられるのが、この枠ならではのすてきな魅力だなと感じています。
前回出演させていただいた作品は少し物静かな役柄で、今回の紀一とは全く違ったキャラクターですが、作品のテイストが違っても“夜ドラ”独特の温かみや空気感は共通していて。とても貴重で素敵な枠に再び主演として携わることができて本当にうれしいです。
――最後に、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
普段あまり図書館に行かない方や、かつての僕と同じように少し堅苦しいイメージを持っている方も、この作品を見ていただけたら絶対に図書館に対する印象が変わると思います。地味に思えるかもしれない図書館のお仕事が、いろいろな人と出会い、さまざまな本と繋がれるとても魅力的な場所なんだと感じていただけると思います。
原作ファンの方にももちろん楽しんでいただきたいですし、このドラマが皆さんにとって本や図書館に足を運ぶきっかけになれば、それが一番うれしいです。ぜひ気楽に、肩の力を抜いて楽しんでいただけたらと思います。


