
過干渉や暴言などで子どもの心身に害を与えて人生を支配するような親は、世間では「毒親」と呼ばれている。著者のみちかさんはヒステリックな母親と、家庭内でその様子を見て見ぬふりをする父親の元で育ち、壮絶な幼少期を過ごした。そんな彼女の半生を描いたコミックエッセイ『さよなら大嫌いなお母さん 毒親からの解放』は、彼女自身の行動で毒親から解放され、自分らしい人生を取り戻すまでの物語である。
■ヒステリックな母親に虐げられ、家を出ることを決断
幼少期からヒステリックな母親の機嫌を伺いながら生活してきたというみちかさん。兄は成績が優秀で比べられることが多く、友達関係や進路、着る服などまで管理され、母親の意に沿わない行動をすると暴言を浴びせられる日々を送っていた。その一方で、父親は単身赴任が多く家庭の問題に関わることはなく、助けを求めても応えてくれなかったという。みちかさんはそんな状況でも母親に愛されたい一心で、母親の期待に応え続けてきた。
そしてみちかさんが高校生になった頃、兄が大学進学で上京することをきっかけに、母親との暮らしに限界を感じ始め、自身も家を出る決意をするのであった。

■著者インタビュー
どのようにして親からの呪縛を解き放ち、自分自身の人生を歩み始めることができたのか、当時を振り返りながらみちかさんに話してもらった。みちかさんの言葉や思いには、親子関係に悩む方にとって貴重なヒントやアドバイスが詰まっている。
みちかさんにご両親を『毒親』だと認識されたきっかけについて尋ねると、「一番大きなきっかけは、中学時代に友達の家に遊びに行った時の出来事です。自分の母親に軽口を叩いたり、友達のように会話をしたりする姿に衝撃と違和感を覚え、その後自分の家庭の歪さに気づき始めました。それまでは、母が怒るのは『私が悪いから』だと本気で信じ込んでいましたが、家が『世界のすべて』だった私にとって、外の世界の『普通の親子』の光景が、洗脳を解く最初の一歩になりました」と当時を振り返りながら話してくれた。
自由がない家庭環境や、お母様との壮絶なエピソードには胸が痛む。そんなつらい時期をどうやって乗り越えられたのか、具体的な方法や考え方を聞くと、「当時は『乗り越える』というより、ただ『やり過ごす』ことに必死でした。 具体的な方法といえるものはほとんどなくて、とにかく自分の心を殺して、母の期待する『いい子』を演じることで、その場を保っていました。そんな中で、私を支えてくれていた存在は、間違いなく愛犬のミルクです。家の中で唯一、私に寄り添ってくれていました。もうひとつは、学校にいる時間です。家を離れている間は『親と過ごす空間だけが自分の世界じゃない』と思える、数少ない時間だったように思います」と語る。
みちかさんに家を出るという行動に踏み切れた原動力やきっかけを伺うと、「きっかけになったのは、皮肉にも母が放った『兄が家を出たのはみちかのせいだ』という理不尽な言葉でした。その瞬間、プツンと何かが切れたんです。『あ、私は何をしても、どれだけ頑張っても、この人に一生責められ続けるんだ』と。それと同時に『嫌ならこの家を出ればいいのか』という当たり前のことにようやく気づけたんです。家を出ること、逃げることは『裏切り』ではなく、自分の命を守るための『正当防衛』なんだと自分に言い聞かせ、トイレで必死に父へメールを打ちました」と話す。これまでいい子を演じてきたみちかさんだったが、家を出るという決断をすることで人生が変わってゆく。
『毒親』から自分の人生を取り戻すために一番大切なことについて聞いてみると、「『物理的にも精神的にも距離を置くこと』、そして『それを決めた自分を許してあげること』だと思います。毒親育ちは離れたあとも、お母さんやお父さんを『1人にして可哀想だったかな』という罪悪感に襲われがちです。でも、その罪悪感こそが、親が植え付けた呪いなんです。それができて、ようやく自分の人生を取り戻せるんだと思います」と話してくれた。
最後に、みちかさんは親子関係に悩んでいる方々へ「今、親子の関係に苦しんで暗闇の中にいるあなたへ。あなたは決して『出来損ない』でも『親不孝』でもありません。そして、親の機嫌を取るために、生まれてきた存在ではありません。たとえ、親との関係に恵まれなかったとしても、これからの人生をどう生きるかは、あなたが決めていいんです。外の世界には、ありのままのあなたを受け入れてくれる人や、安心できる居場所が、きっとあります。今すぐ状況を変えられなくても、『いつかここを出る』『自分の人生を生きる』という希望だけは捨てないでください。あなたが少しずつでも、穏やかな気持ちで過ごせる日が来ることを、心から願っています」を励ましのメッセージをくれた。

取材協力:リアコミ
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

