
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『君はただ、ひとり』より、『大好きな誕生日1日違いの“先輩”』を紹介する。作者の高梨私さんが、7月24日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.7万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、高梨私さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■“早生まれ”に翻弄される2人のひと幕

沢村太一は、幼馴染の瀬戸海咲に思いを寄せている。4月2日生まれの沢村は、4月1日生まれの海咲と1日違いの先輩後輩の関係で、1年早く入学した彼女を追って同じ高校に入学した。
ある日、学校のチャイムが鳴り、海咲が微笑んで「たいちゃん、また放課後ね」と告げる。2年生の教室に戻るため階段を下らなければならない沢村。しかし、3年生の教室に戻ろうと階段を上る海咲の袖を握って…。
この淡い恋のエピソードを読んだ人たちからは、「階段で1日の差を出してるのエモい」「悲しいけど制度だもんな」「先輩後輩だからこその良さもある」など、多くのコメントが寄せられている。
■「心情が言葉ではなく仕草から伝わるかつシンプルな構図を意識しました」作者・高梨私さんに漫画創作へのこだわりをインタビュー

――『君はただ、ひとり』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
新しい家族が増えて、自分自身と向き合う時間が増えたことがきっかけで、自分の気持ちを整理するような感覚で描き始めました。それから「せっかくここまで描いたんだから、とりあえず投稿してみよう」と思い立って公開しました。
たまたま投稿したサイトはコメント欄がとても賑やかな場所で、漫画の中には当時の自分の考え方や言動が反映されている場面もあったため、読者様からリアクションをいただくたびに「ああ、自分はこんなふうに考えていたんだ」「認知が歪んでいたんだ」と気づくことがたくさんありました。作品を公開して本当に良かったと思っています。
――本エピソードでは、無言で袖をぎゅっと握る太一が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
相手と学年が違うと休み時間のたびに上下階へ別れるのってとても切ないシチュエーションだと思うんです。沢村君と海咲の場合は誕生日が1日違いでそうなってしまったのでその切なさはさらに大きかったんじゃないかなと思います。普段は無表情で淡々としているけれど海咲のことが大好きな沢村君の心情が言葉ではなく仕草から伝わるかつシンプルな構図を意識しました。本編に入れられなかったほのぼのパートを1ページ漫画にしたことで、たくさんの方に共感していただけてとても嬉しかったです。
――『君はただ、ひとり』作中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
沢村君と海咲が初めて出会った日のお話です。海咲に「かわいい」を連呼する沢村君と、「かわいくない!」と反射的に否定する海咲。海咲の名前を知りたい沢村君と、自分の名前を覚えていない海咲。お互いにちぐはぐで、とても2人らしいかわいい出会いが描けたお気に入りのシーンです。
――普段作品のストーリーやキャラクターデザインはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
ストーリーは、作者自身が高校の卒業式に出られなかったことで拗らせてしまった学園生活への憧れや自分が生きてきた中で消化しきれなかった気持ちや経験から着想を得ることが多いです。キャラクターデザインについては、90年代の少女向けアニメの絵柄が大好きで、影響を受けています。
――今後の展望や目標をお教えください。
まずは最後まで描き切ることですね……!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
前々から読んでくださっている方も、この1ページ漫画をきっかけに本編へ来て絶望させてしまった方もいつも本当にありがとうございます。『君はただ、ひとり』本編は、読んでいて心が苦しくなる場面も多い作品だと思います。ここからも海咲の歪みや苦しさに心を沈ませてしまうことがあるかもしれませんが、沢村君がしっかり隣にいるので、安心して最後まで2人を見守っていただけたら嬉しいです。

