長男が4歳だったころ、義実家側の親族旅行に参加したときのことです。夕食は旅館の大広間でいただくことになっていました。案内された席を見ると、義両親や義兄家族は窓側の広い席にまとまって座っています。
ところが、私と息子だけは、少し離れた通路横の小さなテーブルに案内されたのです。
息子のひと言に胸が痛み……
最初は「人数の都合なのかな」と思いました。けれど、料理が運ばれてくると、向こうの席には追加の刺し身や天ぷらが並んでいるのが見えます。一方、私たちの席は少し内容が違うように感じました。
気まずさを覚えていると、息子が小さな声で言いました。「なんでみんなと一緒じゃないの?」その言葉に、胸がぎゅっと痛みました。
私は夫に小声で、「席、変えてもらえないかな」と相談しました。けれど夫は最初、「親戚が多いから仕方ないやろ」と流すだけ。すると義母が、笑いながらこう言ったのです。
「小さい子がいると落ち着いて食べられないから、こっちのほうが気楽でしょ」その言葉を聞いて、これは本当に“配慮”なのだろうかと、疑ってしまいました。
息子の反応に気づいた夫は……?
息子は寂しそうな顔をしたまま、黙り込んでしまいました。その様子を見た夫は、ようやく何かを感じたようです。そして義母に向かって、はっきりと言いました。
「母さん、それは配慮じゃなくて、家族を分けてるだけやろ。俺の妻と息子だけ離すなら、俺もそっちに行く」大広間の空気が、一瞬静かになりました。
すると義兄が、「こっち、少し詰めたら座れるよ」と言ってくれました。義姉もすぐに料理を寄せながら、「せっかくの旅行なんだし、一緒に食べたほうがいいよね」と席を空けてくれたのです。周りが自然に動いてくれたことで、義母もそれ以上何も言えなくなったようでした。
夫は私たちの料理を持ち、息子の手を引いて広い席のほうへ移動してくれました。
最初から気づいてほしかったという気持ちはありましたが、夫が息子の寂しそうな様子を見て、きちんと声を上げてくれたことには救われました。その後、息子も少しずつ笑顔に戻り、ようやく家族旅行らしい時間を過ごすことができました。
この出来事で、大人同士の事情や“配慮”のつもりでも、子どもには寂しさとして伝わることがあるのだと感じました。家族の集まりだからこそ、誰かを自然に輪の外へ置いてしまっていないか、気をつけたいと思った出来事です。
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親族が集まる場では、人数や子どもの年齢を考えて席を分けることもあるかもしれません。けれど、その配慮が相手にとって寂しさや疎外感につながっていないか、少し立ち止まって考えることも大切ですね。
特に子どもは、大人が思う以上に「自分だけ違う」という状況に敏感です。家族の集まりだからこそ、みんなが安心して同じ輪の中にいられるよう、周囲の大人が気づいて声をかけられるといいですね。
著者:上田 瑞希/30代女性/5歳の女の子と3歳の男の子を育てる母。最近仕事をはじめ、育児との両立に四苦八苦しながら過ごしています。
イラスト:きょこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)

