絶滅の危機に瀕していた“動く泥”……。希少な生き物を守り抜いた動画がYouTubeで話題です。動画は記事執筆時点で33万8000回以上再生され、6200件を超える高評価を獲得しています。
動画を投稿したのは、YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」(@ariake538)の小宮春平さん。自然観察を楽しみながら生物多様性の保全活動に取り組んでおり、以前は600匹のアメリカザリガニを駆除した池の変化を追った動画が話題になりました。
今回の動画では、福岡県内にある葦原を来訪。本来は河川改修工事で撤去される予定でしたが、小宮さんが県土整備事務所に直接働きかけ、環境の一部を残してもらった経緯があります。労を惜しまず環境保全に取り組んだ理由は、葦原の泥を食べて生きる“希少生物”が生息していたからです。
その希少生物とは、“動く泥”という表現がぴったりなビジュアルの「ヤベガワモチ」。殻を持たない珍しい貝で、絶滅危惧種IA類に指定されている絶滅寸前の種類です。福岡県内にはわずか4カ所にしか生息していないといいます。
環境保全により絶滅の危機は脱したのは約1年半前。今年は大きな変化が起きており、例年よりも圧倒的に多くのヤベガワモチが発見されたのです。撮影中にも、ペアになってクルクル回る繁殖行動中のヤベガワモチを確認することができました。
わずか15メートルほどの区間に8匹のヤベガワモチを発見し、小宮さんは「めちゃくちゃな密度です。こんな数がいるのはスゴいですね」と驚嘆。ヤベガワモチは栄養循環にも大いに役立っており、この葦原にはシオマネキやオカミミガイをはじめとする30~40種類の生き物が生息しているそうです。
葦原周辺に目を移すと、浚渫(しゅんせつ)工事で削り取りられた場所でもヤベガワモチのフンを発見した小宮さん。生息エリアが拡大している可能性が高く、「絶滅寸前の種類だったとしても、その核が残ればね、もう1回増えることは可能ですから」と喜んでいます。
そのまま探索を続けると、フンだけでなくヤベガワモチ本体を発見。「何これ? 意味がわからないくらい数がいますね」と次々に目に入るフィーバータイムに突入し、過去最高となる20匹近いヤベガワモチを見つけることができました。
わずか1年半で生態系の回復が確認でき、「早いなこれは。5年、6年、なんなら10年くらいかかる場所もある」と驚いた小宮さん。最後には、「(工事を)やった上で残すことができる。どの点を守ればいいか、調整をしっかり図ることによって、絶滅危惧種IA類であっても、これだけ増やすことができる」と環境保全の重要性を力強く訴えていました。
動画コメント欄には、「こんな不思議な生き物がいるとは」「ヤベガワモチという生き物を初めて見ました」「こんなにたくさんいるなんてすごい」「貴重な生き物、生態、環境が残って良かった」「感動で涙が出てしまいました!」「嘆願を聞き入れてくれた自治体と工事業者に感謝」「本当に素晴らしい事例です。声を上げることで希少な生き物を守り、増やすことができるってのは多くの人にとって希望の光です」などの声が寄せられました。
小宮さんはYouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」(@ariake538)の他、X(Twitter/@ariake538)でも情報を発信中。環境保全活動に関する活動や考察、成果などを伝えています。
動画提供:YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」(@ariake538)の小宮春平さん

