
上司と2人で食事をすれば、仕事の話をしたり、普段はできない会話をしたり……そんな時間を想像する人も多いだろう。ところが、いざ始まってみると、なぜか延々と説教を聞くことに。しかも会計は8,400円なのに「4,000円でいいよ」と笑顔で割り勘にされ、さらには2軒目まで連れていかれる。
そんな働く人なら一度は「あるある」と思ってしまいそうな悲哀を、哀愁漂うタッチで描いているのが青木ぼんろさん(@aobonro)の「恐らく誰の人生にも影響を及ぼすことはない僕のサラリーマン生活」だ。今回は、上司との食事でじわじわと追い詰められていくエピソードについて、青木さんに話を聞いた。
■「コミュニケーション」のはずが説教タイムに!?



今回のエピソードは、数年前に青木さん自身が体験した出来事がもとになっている。当時、部長とは飲み会でもあまり話したことがなく、「この機会にコミュニケーションを取りたい」と楽しみにしていたという。「はい、数年前に実際に体験した話です。当時、部長とは飲み会でもあまり話したことがなかったので、この機会にコミュニケーションを取りたいと思い、嬉々として飲みに行きました。なのに…」
待っていたのは、楽しい交流ではなく、まさかの説教。仕事について語り合うどころか、日頃の行いについて延々と聞かされるという、なかなかヘビーな食事会になってしまった。
青木さんも、こうした上司との飲み会には思うところがあるようだ。「部下との飲みを『コミュニケーションを取る場』ではなく、『日頃の行いの説教をする場』と認識している上司は特にモヤッとしますね」と苦笑い。そして、こんな秀逸な一言も。「偉いお坊さんくらいですよ、お金を払って説教を聞くのなんて」
■8,400円を払って、説教を聞いて、さらに2軒目へ
漫画では、説教を受けたうえに会計でさらなる追い打ちが待っている。合計8,400円にもかかわらず、上司から告げられたのは「4,000円でいいよ」という一言。おごってもらえるわけではない。微妙に安くなっただけである。
そして、ここで終わればまだよかった。まさかの2軒目へと連行される展開に、読者も「これは何という名の罰ゲームだ」と言いたくなる。楽しく未来を語るはずだった食事が、気づけば説教、割り勘、2軒目という謎のフルコースになってしまう。
この絶妙に逃げ場のない状況こそ、青木さんの漫画ならではの味わいだ。大事件ではない。けれど本人にとっては確実に一大事。そんな「誰かに話すほどではないけれど、ずっと心に引っかかる出来事」を、哀愁と笑いに変えている。
■「基本的に自分から誘わないです」
では、立場が逆になったらどうするのか。青木さん自身が後輩をご馳走する側になった場合について聞くと、意外にもシンプルな答えが返ってきた。「僕らの世代は飲み会なんて参加が当たり前でしたし、不参加を許さない風潮でしたが、今の若い子は行きたくなければしっかり断れる人が多いと思うので、基本的に自分から誘わないです。断られると辛いので(笑)」
自分が苦い思いをしたからこそ、後輩には無理をさせない。そんな距離感も、青木さんの作品に漂う「働く人へのやさしい視線」なのかもしれない。
仕事をしていれば、理不尽なことも、モヤモヤすることも、笑うしかない出来事も起こる。「恐らく誰の人生にも影響を及ぼすことはない」けれど、本人にとっては忘れられない。そんなサラリーマンの日常を切り取った本作を読めば、「わかる……」と苦笑いしてしまうこと請け合いだ。
■取材協力:青木ぼんろ(@aobonro)
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