近視を治療する方法はさまざまありますが、なかでも近年注目を集めているのがICL。角膜を削らず、また侵襲が少ない治療法として多くの人が選択し始めています。今回はICLの治療を受けるときの注意点について、きくな湯田眼科の湯田先生に話を聞きました。

監修医師:
湯田 健太郎(きくな湯田眼科)
浜松医科大学医学部医学科卒業、東京大学大学院医学系研究科修了。その後、横浜南共済病院、横浜市立大学附属病院、ハーバード大学医学部などで経験を積む。2021年、神奈川県横浜市に位置する「きくな湯田眼科」の副院長に就任。医学博士。日本眼科学会専門医。日本神経眼科学会、日本眼科手術学会の各会員。横浜市立大学附属病院眼科客員講師、日本大学医学部附属板橋病院眼科兼任講師。
編集部
ICL手術を受ける上での注意点はありますか?
湯田先生
自由診療となるため、治療費が高額になるという点には注意が必要です。治療費はどのレンズを使用するかによっても異なりますが、両眼で50〜80万円程度が目安になります。
編集部
レンズを入れたあと、手入れは必要ですか?
湯田先生
いいえ、レンズを一旦挿入したら汚れることはないので、手入れの必要はありません。またレンズを使用することによる痛みや違和感もなく、目に優しいとされています。
編集部
そのほかに何か注意点はありますか?
湯田先生
治療後、夜間に光が滲んで見えたり、まぶしく感じられたりする現象が起きることがあります。こうした現象をハロー・グレアといいます。レーシック手術よりも発生の頻度は少ないものの、夜に運転する機会の多い人は注意が必要です。ただし、ハロー・グレアは時間とともに減ってきて、ほとんどの方は半年ほどで目立たなくなります。
編集部
ICLの治療を受けられない人はいますか?
湯田先生
レンズを入れるスペースが狭い人は、治療を受けられない場合があります。また中等度以上の緑内障など、目に疾患のある人も治療を受けられないことがあります。
編集部
ICLはどのような人に適した治療法ですか?
湯田先生
中等度~強度の近視や遠視、乱視に悩んでいる方にはおすすめの治療法です。ただしICLの適応年齢は、原則として21歳以上から45歳程度とされています。あまり年齢が高いと老眼や白内障など、加齢に伴う見え方の変化が起きる可能性があるからです。そのためICLを考えている場合にはできるだけ早めに医師に相談することをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
湯田先生
前述のICL治療費は高額と感じるかもしれませんが、たとえば1日使い捨てタイプのコンタクトレンズを使用している方なら、10年間分のコンタクトレンズ費用で手術費用が相殺する、といわれています。2週間で使い捨てるタイプのコンタクトレンズなら20年ほどで手術費用と相殺します。長期で考えれば、コストパフォーマンスに優れた治療法です。こうした点も、ICL治療を受けるなら早い方が良いとされている理由の一つ。もしICL治療を受けようか考えている方がいらしたら、一度専門医に相談することをおすすめします。
※この記事はMedical DOCにて<レーシックとの比較でわかる「ICL」 角膜を削らない治療を医師が解説【近年注目】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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