尿酸値のコントロールには、食事だけでなく運動習慣やアルコールとの付き合い方も大きく関わっています。なぜ肥満が尿酸値を高めるのか、どのような運動が適切で、どのような運動が逆効果になるのか。お酒の種類よりも大切なこととは何か。生活習慣全体の視点から、実践しやすい改善のポイントをご説明します。

監修医師:
田中 茂(医師)
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学
高尿酸血症を下げる方法②:運動・肥満・アルコールへの対策
食事の改善と並んで、運動習慣の見直しや適正体重の管理、そしてアルコールとの上手な付き合い方も、尿酸値を安全に下げるために欠かせない重要要素です。このセクションでは、生活習慣全体にわたる改善の視点から詳しく解説します。
適度な運動と肥満の解消
肥満(特に内臓脂肪型肥満)は、高尿酸血症を引き起こす最大の危険因子(リスクファクター)の一つです。お腹のまわりに内臓脂肪が蓄積すると、インスリン抵抗性(血糖値を下げるインスリンというホルモンの効き目が悪くなる状態)が引き起こされます。すると体内ではインスリンが過剰に分泌されるようになり、この高インスリン状態が腎臓での尿酸の再吸収を促して、尿中への排泄を著しく低下させてしまいます。そのため、減量によって適正体重を維持することが尿酸値の根本的な管理に極めて有効とされています。
運動に関しては、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などの「有酸素運動」を継続することが尿酸値の改善と内臓脂肪の燃焼に大いに役立ちます。ただし、運動の「強度」には十分な注意が必要です。短距離走や激しい筋力トレーニングのような「無酸素運動」は、運動のエネルギー源が体内で一気に分解される過程で尿酸が多く作られてしまうだけでなく、発汗による脱水も重なり、一時的に血液中の尿酸値を上昇させる原因となります。運動はあくまで「息が弾む程度の適度な強度」で行うことがポイントであり、1日30分程度の有酸素運動を週に3〜5回ほど継続することが現実的かつ効果的な目標となります。
また、極端な絶食や急激なダイエットを避けることも重要です。無理な食事制限によって急激に体重を落とすと、自分の体組織(筋肉や脂肪)が壊されてプリン体が体内で大量に産生されるほか、ケトン体と呼ばれる物質ができて腎臓からの尿酸排泄を邪魔してしまいます。食事改善は無理なく緩やかに行い、長期的な視点で適正体重へ近づけていくことが望ましいとされています。
アルコールと高尿酸血症の関係
アルコールは、高尿酸血症に対して体内で複数の経路から直接的・間接的に悪影響を及ぼします。第一に、アルコールが体内で分解・代謝される過程そのものがプリン体の分解を促進し、尿酸の産生量を跳ね上げます。第二に、アルコールの代謝に伴って生じる乳酸が、腎臓からの尿酸排泄を強力にブロックして体内に留めてしまいます。さらに、アルコールの利尿作用によって脱水症状が起きると、血液中の尿酸濃度がさらに高まるという悪循環を生みます。
特にビールは、アルコール飲料の中でもプリン体を比較的多く含んでいるため、アルコールの直接作用とプリン体摂取のダブルの悪影響が重なり、尿酸値を極めて上昇させやすいお酒です。近年は「プリン体ゼロ」を謳うビール系飲料も増えていますが、プリン体がゼロであってもアルコール自体に尿酸値を上げる作用があるため安心はできません。焼酎やハイボール、ウイスキー、日本酒、ワインなどはビールよりプリン体が少ないものの、アルコールそのものが尿酸値を上げるため安心はできません。つまり、「何のお酒を飲むか」よりも「アルコールの総量をどれだけ控えるか」が何より重要になります。
公的機関が示す適正な飲酒量の目安としては、1日あたりの純アルコール量で「20g以下」(日本酒なら約1合、ビールなら500mL缶1本、ウイスキーならダブル1杯相当)と定められています。また、週に2日以上の休肝日(お酒を飲まずに肝臓や腎臓を休ませる日)を意識的に設けることも強く推奨されています。お酒を完全に断つことが難しい場合でも、飲む量と頻度をコントロールし、お酒の合間にしっかりお水を飲むことを意識するだけで、尿酸値のコントロールに大きな効果が期待できます。
まとめ
高尿酸血症は、自覚症状がないまま進行しやすい状態ですが、食事・運動・水分摂取などの生活習慣の見直しと、必要に応じた薬物療法によって尿酸値をコントロールすることが可能です。尿酸値の目標は6.0mg/dL以下が基本であり、プリン体やアルコールの摂取量を適切に管理することが改善への近道となります。気になる症状や数値の変化があれば、まずは内科などの医療機関に相談することをおすすめします。
参考文献
日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」
厚生労働省「高尿酸血症」
日本腎臓学会「エビデンスに基づく CKD診療ガイドライン 2023」
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