
子どもにこうあってほしいと願うのは親によくあることだが、すべてにおいて自分の理想を押し付けた場合、子どもはどうなるのだろうか。
「あなたのためを想って」と母から服や友人関係、進路まで決められ、さらには「女の子はかわいくないと」と二重(ふたえ)の整形手術まで受けさせられたエリカ。母の選択に縛られた彼女は自分の感情がわからなくなり、大学2年生で過食と嘔吐を繰り返す摂食障害になってしまう。



本作『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』は、作者・グラハム子さん(@gura_hamuco)の実体験に基づく自伝的エッセイ漫画だ。親の過干渉に苦しむ人々の共感を呼んでいる本作について、著者の思いを聞いた。
※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。
■「やっぱり女の子はかわくないとねえ」整形強要が残した深い傷
グラハム子さんが漫画を描き始めたのは自身の出産・育児がきっかけ。「心に残ったモヤモヤ、しこりをなくすためには漫画を描くことが一番いい方法だと気づいた」と、母からの過干渉で苦しんだ過去を作品に昇華していった。
作中でも描かれているように、母は娘を理想の姿にするべくあらゆることをコントロールしてきた。「母が正しいと思い込んでいて、どの家もそうだと思っていました」と当時を振り返る。そして中学卒業時、母の勧めで二重の整形手術を受けることに。さらに高校進学後、体重が増えた彼女に対し、母は「みっともない」「やっぱり女の子はかわくないとねえ」「親だからこそ本音を言ってあげられる」と言い放ち、その結果グラハム子さんは摂食障害に陥ってしまう。
グラハム子さんは、整形自体を悪いものだとは思っていないという。「うまく表現できないんですけど、“やらされた”二重の整形には『ありのままの顔で生きてはいけないんだ』と、自分自身を否定されているようなつらさがずっとありました」(グラハム子さん)
■母との“ベストなグレー”な関係と、自身の子育て
母の言葉が絶対ではないと気づく大きなきっかけは、20代前半での「大怪我」だった。身動きがとれず、母に勧められたスポーツもできなくなったことで、初めて自分と向き合う時間ができたという。
現在、母との関係についてグラハム子さんは「絶縁まではいかないけれど、決して仲良くはない。そんな“自分にとってベストなグレー”を見つけるという方法もある」と、同じ境遇の人へ向けて語る。
少しずつ母の呪縛から抜け出し、今の自分を認められるようになった背景には自身の子どもの存在が大きい。「自由を与えて、そのままでいいんだよって言える強さが母にはなかったんでしょう。受け入れることが1番大切な愛だと思うので、自分の子どもたちに対しては好きなものも嫌いなものも否定しないで見守っていきたいです」(グラハム子さん)
今後の目標を聞くと、なんと「バク転チャレンジ」をしていると笑顔を見せる。「小さなことでも自分で決めた目標が達成できるとうれしいし、日々が楽しくなります」。つらい経験を飲み込み、自らの意思で人生を楽しむ彼女の前向きな姿がそこにあった。
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