糖尿病は生活習慣と深く関わる病気ですが、その中でも意外と見落とされがちなのが睡眠不足です。忙しい現代社会では、つい夜更かしをしてしまいがちですが、実は短期間の睡眠不足でも血糖値の調整機能が乱れることが分かっています。では、なぜ睡眠が血糖値のコントロールに影響を与えるのでしょうか? 糖尿病と睡眠の関係について鈴木先生にお話を伺いました。

監修医師:
鈴木 一成(鈴木内科・糖尿病クリニック)
北里大学医学部卒業。日本医科大学付属病院老年内科病棟医長、東京臨海病院糖尿病内科医長などを歴任後の2019年、東京都葛飾区に「鈴木内科・糖尿病クリニック」開院。改善の難しい糖尿病の治療機会を広げるべく、診療に努めている。医学博士。日本内科学会認定内科医、日本老年医学会老年病専門医・指導医・評議員、日本糖尿病学会専門医・研修指導医。
編集部
かかると怖い糖尿病ですが、なにがきっかけとなるのですか?
鈴木先生
ウイルスなどによる突発性の1型を除き、一般的な2型の糖尿病には、遺伝のほかストレス、食生活、運動不足など、さまざまな生活習慣が関わっています。そのなかには、睡眠不足も含まれます。しかも、短期間の睡眠不足で、血糖値の調節機能が崩れかねません。睡眠時間は1日の約3分の1を占めますから、ウエイトの高い生活習慣といえるのではないでしょうか。
編集部
平日はどうしても寝不足になりがちです。詳しく教えてください。
鈴木先生
私が感心したのは、イギリスの「ロンドン大学キングス・カレッジ」による2016年の研究です。それによると、1時間長く寝るだけで、約385kcalの糖分摂取を減らせるそうです。お薬によって1日に排出できる糖分の上限がほぼ同量ですから、わずか1時間の睡眠不足といえどもあなどれません。血糖値と睡眠の関係性を示す研究や論文は、国内外を問わず、ほかにも多数あります。
編集部
睡眠不足そのものがいけないのですか? 夜更かしした結果、お菓子や夜食を食べているのも関係ありそうです。
鈴木先生
両方ですね。飲んだ後のラーメンなどは確実に悪化させます。ただし、睡眠不足も直接的に関与していることを、ぜひ、覚えておいてください。仕事などで遅くなりそうだったら、どこかのタイミングできちんとした夕食を取り、帰宅後に再び食べないこと。そして、なるべく早く就寝することが大切です。
編集部
なぜ、睡眠不足によって血糖値の調整がうまく働かなくなるのでしょう?
鈴木先生
起きている間は交感神経が優位にあり、血中に糖を開放することで、脳や筋肉の働きをサポートします。つまり、起きている時間が長いと、糖分の調節機能を働かせすぎて疲れてしまうと考えられています。また、睡眠時は「体のメンテナンスタイム」なので、調整する時間が足りていないという見方もできるでしょう。体の疲れは臓器の疲れ、疲れをため込むと、臓器も失調します。
※この記事はメディカルドックにて【睡眠不足が糖尿病を悪化させる!? これってホント?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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