橋本病は、免疫のはたらきによって自分の甲状腺が慢性的に炎症を起こす病気です。女性にみられることが少なくなく、進行はゆるやかで、初期にははっきりした症状が出にくいことがあります。炎症が続くと、甲状腺ホルモンを作る力が少しずつ低下します。そのため、首の腫れや健診での異常をきっかけにみつかることもあれば、疲れやすさや寒がりなどが日常の不調として見過ごされることもあります。
この記事では、橋本病の初期症状の特徴を解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「橋本病を疑う初期症状」はご存知ですか?受診の目安となる症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
橋本病の初期症状の特徴

橋本病にはどのような初期症状が現れますか?
橋本病は、初期には自覚症状がほとんどないことが一般的です。そのなかで早い段階の手がかりになりやすいのが、甲状腺の腫れです。首の前側にある甲状腺が全体に腫れ、触れると弾力があり、表面にやや凹凸を感じることがあります。多くは痛みを伴いませんが、飲み込むときに軽い違和感を覚える方もいます。病気が進んで甲状腺機能低下症の兆候が現れると、代謝が低下するため、身体のだるさや気力の低下、寒がりなどの症状が少しずつ出てきます。ただし、こうした変化はゆっくり進むため、初期の段階では橋本病による不調だと気付きにくい傾向があります。
橋本病による体重増加やむくみは初期からみられますか?
体重増加やむくみは、甲状腺機能低下症がはっきりしてきた段階でみられやすい症状であり、橋本病のごく初期から出ることはまれです。機能低下が進むと、皮下組織にムコ多糖類がたまり、粘液水腫と呼ばれる特徴的なむくみが起こります。これは、押してもへこみが残りにくいむくみで、顔面、特にまぶたや唇、手足などに出やすいことが知られています。その結果、食事量が大きく増えていないのに体重が増えたり、顔つきが腫れぼったくみえたりすることがあります。
橋本病の初期に見た目の変化はありますか?
初期の見た目の変化として気付きやすいのは、首の前側のふくらみです。甲状腺が全体に腫れることで、首のラインが以前より太く見えたり、喉仏の下あたりに膨らみを感じたりすることがあります。また、甲状腺機能低下が少しずつ進むと、皮膚の乾燥や頭髪の変化(髪がぱさつく、抜け毛が増える、全体に薄く感じる)、眉毛の外側が薄くなる変化が出ることもあります。
さらに進行すると、まぶたや唇が厚ぼったくみえ、表情が乏しくみえる粘液水腫様顔貌が現れることがありますが、初期にはこうした変化はごく軽く、本人や家族も疲れや年齢の影響と受け止めてしまうことが少なくありません。
橋本病の初期症状に気付きにくいのはなぜですか?
橋本病の初期症状に気付きにくい理由は、進行がとてもゆるやかで、しかも橋本病だけに特有といえる症状が少ないためです。倦怠感や便秘、皮膚の乾燥、気力の低下といった症状は、加齢や仕事の疲れ、睡眠不足、更年期の変化などとも重なります。また、橋本病の方の多くは甲状腺機能がしばらく正常に保たれるため、体内のホルモンバランスが崩れて不調として表面化するまで長い年月がかかることもあります。
編集部まとめ

橋本病は、初期に自覚症状が乏しく、疲れやすさや寒がり、便秘、皮膚の乾燥などが日常の不調として見過ごされやすい病気です。首の腫れが手がかりになることもありますが、甲状腺機能が長く保たれる方もおり、病気に気付きにくい時期が続くことがあります。一方で、甲状腺機能低下症が進むと、むくみや体重増加、気力低下、抑うつ状態など、さまざまな症状につながります。
首の違和感や続く疲れ、寒がり、むくみなどが気になるときは、年齢や疲労のせいと決めつけず病院で相談しましょう。橋本病は血液検査や超音波検査で評価でき、必要に応じて治療につなげられます。
参考文献
『甲状腺疾患診断ガイドライン2024』(日本甲状腺学会)
『橋本病(慢性甲状腺炎)』(日本内分泌学会)
- 「血液検査のCK値」の”異常値で現れる症状”はご存じですか?基準値や原因も医師が解説
──────────── - 「重症筋無力症」の”疲れやすさが悪化”するのは朝と夕方どちらか?医師が解説!
──────────── - 「橋本病で食べてはいけない食品」はある?食事で気を付けることも解説!【医師監修】
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