【モロッコ】アイット・ベン・ハドゥの集落(世界遺産)

【モロッコ】アイット・ベン・ハドゥの集落(世界遺産)

アイット・ベン・ハドゥの建築様式

現在の建物は17世紀以降のものですが、建築手法はベルベル人による古来の方法を踏襲しています。伝統的なクサール(要塞村)の形式を保っており、粘土と藁で作られた日干しレンガの建物が密集しています。建物はほとんどが三階建てで、1階部分は窓がほとんどなく換気口のみ設けた馬小屋、2階は倉庫、3階が住居として利用されました。外壁には銃眼が配されるなど工夫がみられます。最上階には籠城用の食料庫が存在していました。

村内にはモスクや隊商宿もあり、生活と防御が両立する設計となっています。丘の頂上にも食料庫が備えられ、長期包囲にも耐えうる構造です。丘の上の立地は、見張りや交易路の管理にも適しており、長期包囲にも耐えうる構造です。

建物の多くは日干しレンガで作られ、赤茶色の外壁と精巧な装飾、そして外壁の銃眼や一か所しかない入り口、迷路のように入り組んだ通路が特徴です。イスラム化以前の砂漠地帯独自建築様式を今に伝えています。

食料庫や水源が設置されており、自然環境と防衛構造が巧みに融合しています。こうした設計は、交易都市としての機能と防衛機能が両立する独自の都市計画といえます。

アイット・ベン・ハドゥの文化的価値

アイット・ベン・ハドゥは、古代の建築技術と集落生活の様式を残す典型的なクサール(要塞化された村)として評価されています。ユネスコ登録基準では、以下の点が特に注目されます:

  • 建築様式と技術の集積:伝統的な土造建築、カスバの密集、城壁機能を持つ集落構造。
  • 文化・生活様式の保存:伝統的な村落構造と交易を通じた生活環境の例証。

なお、近代化や観光化により多くの住民は対岸の新しい集落に移住しましたが、少数の家族は今も旧集落に生活しています。

配信元: トリップノート

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トリップノート

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