西岡徳馬が主演を務める舞台「『新 画狂人北斎』－2025－」が10月17日より東京・紀伊国屋ホールで幕を上げた。その公開ゲネプロ、囲み取材が10月17日に行われ、西岡をはじめ、共演の雛形あきこ、timelesz・寺西拓人、廣瀬智紀、演出の宮本亞門が登壇。ゲネプロを終えての感想や意気込みなどを語った。
■絵に魂を捧げた絵師・葛飾北斎を中心とした人間の生きざまを描く物語
本作は、「画狂人北斎」として、2017年に宮本亞門が演出し、朗読劇「画狂人北斎」を上演。2019年には、ストレートプレイの舞台作品として初演を迎え、そして2021年、2023年とブラッシュアップをしながら全国にて上演されてきた。今作は、宮本亞門演出、池谷雅生の脚本にて前作から完全リニューアル。
絵に魂を捧げ、「まだまだ足りねえ」と生涯探究し続けた絵師・葛飾北斎と、水野忠邦の天保の改革の下、目付や南町奉行という要職に就いた鳥居耀蔵を中心に、人の幸せとは何なのかという彼らの生きざまが描かれる。
主人公・葛飾北斎役を西岡徳馬、北斎の娘・お栄役を雛形あきこ、北斎の孫・時太郎役を廣瀬智紀、そして新たな登場人物となる鳥居耀蔵役を寺西拓人が演じる。ほか、シーボルト(アイル・シオザキ)、西村屋与八(瀬尾タクヤ)、りん(花音)らも新たに登場。さらに水野忠邦役の声の出演として里見浩太朗が決定。完全新作「『新 画狂人北斎』－2025－」として上演される。
■宮本亞門「よくぞチャレンジしてくれて、全身全霊で飛び込んでくれた」
葛飾北斎を演じる西岡は寺西について「てら(※寺西の愛称)は去年も映画で一緒で知ってたので。すごく感性の豊かな男でね、頭もいいし、本当に褒められる人格だしね。とってもしあわせだと思ってます、そういう相手役と巡り合えたということが」と絶賛。隣に立つ寺西はその言葉に頭を下げ、「今回がっつり二人だけでお芝居をするシーンもありまして。稽古中もいかに鳥居耀蔵の気持ちが動くかということを常日頃せりふまで考えて下さって…そのようにやっていただいたので、すごくやりやすく、日々楽しい稽古でした」と充実の日々を振り返った。
西岡との共演に緊張もあったかと問われると、「役柄として相対するときは緊張しますが、実際は本当にすてきなお優しいお方なので、フランクに接していただいています」と笑顔で語り、温かい空気に。ゲネを終えての心境については「本番さながらの熱量でしっかりぶつかり合えたので良かったです。個人的にはもっともっといろんなことができるなと課題があるので、ここからさらにブラッシュアップして、いいお芝居をお届けできたらなと思います」とあくなき向上心を伺わせた。
また、本作の演出を手掛ける演出家・宮本亞門氏は、「寺西さんの芝居を舞台で見てもう大感動して。“ただ存在することができる役者がいた！”って言って興奮して。寺西さんには今までやったことのないことを全部やらせるということが僕の目的です。この役もそうですし、かつらも。最初はちょっと戸惑っていましたけど、(稽古中に)とにかく徹底的に、だいぶ細かいこともしつこくしつこく言っていましたが、人がいいから『ありがとうございます』って最初に言うんですよ。僕がダメ出しすると、『ありがとうございます』って。なかなか言わないですよね。よくぞチャレンジしてくれて、全身全霊で飛び込んでくれたというふうに思います」と絶賛した。
■寺西拓人「本当に学びの日々でした」
本格的な時代劇に挑戦した寺西は、「所作もそうですし、着物ひとつ着る着方も含めて全部が初めてだったので。所作の先生に教わりながら、徳馬さんにもたくさん教わりました。歩き方から何から、本当に学びの日々でした」とコメント。
また作品中、ふんどし姿で登場するシーンがある西岡は、記者から体を鍛えること、体力作りについて聞かれると「もちろん俳優は体力ですから。この体がないとできないし、この体が商品なので鍛えるってほどでもないですけど、ちゃんと脳裏に浮かんだ芝居はそのようにできるようにしたいなと思っています」と明かした。さらにその秘訣については、「『まだ足りねえ』です。まだ足りない。もうちょっとまだ足りない。満足したら終わりです」と北斎のせりふにかけて回答し、その役者魂を垣間見せた。
そしてそんな西岡を慕うところについて、寺西は「いままさにお話されていた、『まだ足りねえ』と。ここまでの方が『まだ足りねえ』と言うのでしたらこちらはそれはもっと足りないですし、本当に尊敬する部分です」と西岡の役者としての在り方に感服した。
■西岡徳馬「このチームでやる葛飾北斎は一つしかない」
寺西は自身のまげ姿について聞かれると、「最初に初めてこのかつらを付けた時に、僕はこれで合っているのかという不安は正直ありました。スタッフさんを見渡すと、みんな僕と同じ顔をしてたんですよ(笑)。だからその時は多分合ってなくて(笑)。いまはサイズ感を調整して、新鮮に楽しんでおります」と笑顔に。そしてtimeleszメンバーの観劇についても「来てくれるんじゃないですか。楽しみにしてます」と期待をにじませた。
最後に、西岡が「世界中の誰もが知っている葛飾北斎。それでもこのチームでやる葛飾北斎は一つしかないですから。このチームの葛飾北斎を、鳥居耀蔵を、お栄を、時太郎を、とみんなで磨きをかけていけばもっともっと素晴らしいものになるんじゃないかと思っています。日々是新(ひびこれあらた)で、お客さまの反応を見て教わることも多々ありますので、磨きをかけて最後まで完走したいと思っております」と決意を語り、締めくくった。
舞台「『新 画狂人北斎』－2025－」は10月17日から10月22日(水)まで東京・紀伊国屋ホール、10月25日(土)から10月26日(日)まで長野・北斎ホール、10月28日(火)から10月29日(水)まで石川・北國新聞赤羽ホール、10月31日(金)から11月3日(月)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、11月11日(火)に北海道・札幌市教育文化会館大ホール、11月13日(木)に北海道・北ガス市民ホール(北見市民会館)、11月15日(土)に北海道・幕別町百年記念ホール、11月17日(月)に北海道・だて歴史の杜 カルチャーセンター 大ホール、11月24日(月)に大分・中津文化会館 大ホール、11月25日(火)に熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール、11月27日(木)から28日(金)まで京都劇場、11月29(土)から30(日)まで山口・下関市民会館 大ホールで上演される。
※西岡徳馬の「徳」は旧字体が正式表記
