はじめての真剣、二度目の居眠り──ミレイと娘の小さな物語

タイトルの仕掛け

二枚を一層印象深くしているのが、タイトルです。《My First Sermon》《My Second Sermon》──説教する牧師の立場ではなく、聞かされる子どもの体験を主語にしています。

「私の初めての説教」「私の二度目の説教」というタイトルに触れた瞬間、観る者は自然と少女の視点に立ち、彼女の緊張や退屈を追体験することになります。荘厳な宗教画に見えて、同時に親しみやすい物語性を帯びているのは、このタイトルの力によるところが大きいのです。

展覧会での反響 ― 大主教の賛辞

1863年、ロイヤル・アカデミー展で《初めての説教》が公開されると大きな話題を呼びました。カンタベリー大主教ジョン・バード・サンプソンは展覧会の晩餐会でこの作品に触れ、
「この小さな子どもの顔には、説教を聞く者の敬虔さが余すことなく表れている」
と称賛しました。宗教的権威が公の場で作品を評価したことにより、絵の人気はさらに高まりました。翌年の《二度目の説教》も「説教の長さへの風刺」として話題にされ、観客の共感を得ました。

配信元: イロハニアート

提供元

プロフィール画像

イロハニアート

最近よく耳にするアート。「興味はあるけれど、難しそう」と何となく敬遠していませんか?イロハニアートは、アートをもっと自由に、たくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディアです。現代アートから古美術まで、アートのイロハが分かる、そんなメディアを目指して日々コンテンツを更新しています。