ナスカ文明とは？ 地上絵だけではないその魅力
歴史的重要性を持つ貴重なナスカの文化財９点が来日公開されているペルー館文化展示コーナー
「ナスカ」と聞くと、広大な砂漠に描かれた巨大な地上絵「ナスカの地上絵」を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、ナスカ文明の魅力はそれだけではありません。
本展では、地上絵の背景に広がる彼らの自然観や信仰、そして高度な技術力と豊かな芸術性が詰まった文化財の数々を間近で鑑賞できます。
出展されるのは、精緻な装飾が施された土器、儀式で使われた楽器、そして祖先の力と結びつくとされる金製の鼻飾りなど、歴史的にも非常に価値の高い品々です。
これらの遺物は、ペルー南部沿岸の乾燥した砂漠地帯で栄えたナスカ文化の真髄を物語っています。
リマ美術館（MALI）プレコロンビア美術学芸員 イサベル・コヤソス氏 コメント
歴史的重要性を持つ貴重なナスカの文化財を、ペルー文化省の正式な許可を経て日本に届けることができました。この機会に、ペルー館で古代ナスカ文化の奥深い精神世界と芸術的表現に触れていただければ幸いです
神秘的な世界観を体感！展示の見どころ
「ナスカ 砂漠の秘密」展では、単に文化財を展示するだけでなく、来場者がナスカの儀礼空間を五感で体験できるよう、工夫が凝らされています。
本物の文化財が語る歴史
約1500年前のナスカ文明の息吹を感じられる本物の文化財9点が展示されます。
これら一つ一つが、当時の人々の生活、信仰、そして美的感覚を雄弁に物語ります。
出展作品リスト（リマ美術館〈MALI〉所蔵）
1. アンタラ（土器製の儀式用パンフルート） ― 戦士（槍・投石器を持つ）の文様
Antara con diseños de guerreros sosteniendo lanzas y estólicas （2021.19.10）
2. 鉢（土器） ― 花と輪の文様
Cuenco con representación de flores y anillos （IV-2.0-0259）
3. 壺（土器） ― 手と階段状三角形の文様
Botella con motivos de manos y triángulos escalonados （IV-2.0-1028）
4. 鉢（土器） ― フラミンゴ（パリワナ）の文様
Cuenco con motivos de parihuanas （IV-2.0-0008）
5. 壺（土器） ― 鳥と花（蜜を吸う鳥＝ハチドリ）
Botella con motivos de aves y flores （IV-2.0-0220）
6. 皿（土器） ― トカゲの文様
Plato con motivos de lagartijas （IV-2.0-0386）
7. 壺（土器） ― 蛇・蛇に変化したネコ科動物・蜘蛛の文様
Botella con motivos de serpientes, felinos-serpientes y arañas （2024.7.39）
8. 壺（土器） ― 擬人化された神話的存在（ミト的アンソロポモルフォ）
Botella con representación del Ser Mítico Antropomorfo （IV-2.0-1061）
9. 金製鼻飾り ― ネコ科の口ひげのモチーフ
Nariguera con representación de bigotes de felino （IV-2.2-0490）
映像と音響で再現される儀礼空間
神話的祖先を再解釈した映像作品
神話的祖先を再解釈した迫力ある映像作品が、ナスカの世界観へと誘います。
さらに、砂漠の風の音とアンタラ（土器製の儀式用パンフルート）や太鼓の音色が織りなす音響演出は、まるで古代ナスカの儀式に立ち会っているかのような臨場感を生み出します。
考古学的資料と現代的な演出の融合により、ナスカ文化の奥深い精神世界を体感できるでしょう。
生命の再生を象徴するモチーフ
ハチドリが描かれた土器
ナスカの地上絵と土器に描かれた共通モチーフの解説映像
ハチドリ、クモ、トカゲ、そして花など、土器や壺に描かれたモチーフは、単なる自然描写ではなく、水の循環や生命の再生を象徴し、儀礼の中で神聖な力を呼び起こす存在です。
ナスカの人々が自然界に宿るスピリチュアルな力をどのように捉え、表現してきたのか、その深い思想に触れることができます。
