血管の老化である動脈硬化は、さまざまな病気によって引き起こされる恐ろしい病気です。
その危険性は、多くの方が思っている以上に高く、年齢なども関係します。しかし、詳しい病気の内容やリスクなど知らない方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、動脈硬化がどのような病気かを詳しく解説します。動脈硬化のリスクや治療方法もご紹介するので参考にしてください。
※この記事はメディカルドックにて『「動脈硬化」を予防する食べ物はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
動脈硬化のリスクと治療方法

動脈硬化を放置するリスクはありますか?
この病気を放置すると、非常に重篤な病気を発症するリスクが高まり、重い障害を残す可能性があります。また、最悪の場合、命にかかわることもあるでしょう。この病気は、先述したように、全身における動脈で発症する可能性がある病気です。その中でも、脳動脈や冠動脈に起こりやすく、放置すると脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞などの原因となる可能性があります。
脳梗塞などを起こした場合、身体が動かせなくなるなどの重度の障害を残す可能性があるでしょう。また、会話ができなくなるなどの機能が損なわれることもあります。
万が一、冠動脈が詰まるようなことがあれば、心臓に障害を受け、命に関わる可能性もあるでしょう。このように、放置するとリスクが非常に高いため、異変を感じた場合は迅速に治療を進める必要があります。
動脈硬化の治療方法を教えてください。
この病気そのものを根本的に治す治療方法はありません。治療のやり方としては、間接的な病気や身体を改善していくこととなります。間接的な治療方法としては、次のような方法があります。
食事療法
運動療法
薬物療法
まずは、食事療法です。コレステロールを多く含む食品や動物性脂肪の多い食品は、この病気の発症と進行のリスクを高めるため、摂取しすぎないように調整します。
例えば食物繊維が含まれる食品は、血中のコレステロールを下げる働きがあります。野菜や果物は積極的にとるようにしましょう。また、アルコールは適量に抑えることも重要です。
運動療法は、ウォーキングや水泳など、適度な運動を行うようにしましょう。足腰の弱い方などは、椅子に座ったままできるストレッチなどでも問題ありません。運動によって筋肉が増えれば、基礎代謝が上がり、糖や脂肪の代謝を良くする効果もあります。
薬物療法は、動脈硬化と密接に関係する高血圧・糖尿病・脂質異常症などを、薬によって治療するといった方法です。
これらの疾患を改善することが、動脈硬化改善にも大きくつながるため、しっかりと薬を使って治療を進めます。
動脈硬化の治療には入院が必要なのでしょうか?
軽度な初期症状の場合は、入院の必要はありません。しかし、先述したような閉塞性動脈硬化症など、重症化している場合には入院が必要な場合もあります。例えば、閉塞性動脈硬化症の場合、手術内容によっても入院期間が異なります。カテーテルによる治療であれば、大腿動脈からカテーテルを挿入して治療するため、入院期間は約3日です。
しかし、狭い部分の血管でカテーテル治療ができない場合は、バイパス手術などを行います。その際には、全身麻酔を行うため、入院期間は約1週間程必要です。
編集部まとめ

動脈硬化は、普段の生活習慣・加齢・喫煙・遺伝性とさまざまな要因から発症するリスクのある、恐ろしい病気です。
また、この病気そのものの明確な治療方法はなく、密接にかかわる生活習慣病を改善するための治療や血管の手術でしか対処はできません。
最も効果が高いのは、この病気が発症しにくい体づくりをすることです。そのためには、食事や運動など正しい対処法を知り、医療機関との相談のうえで改善に取り組みましょう。
参考文献
動脈硬化の怖さを知ろう|SBS静岡健康増進センター座談会 教えて!健康
心臓血管外科の病気:閉塞性動脈硬化症|徳洲会グループ
わかりやすい病気のはなしシリーズ37 動脈硬化|一般社団法人日本臨床内科医会

