「おつぼね」がひどい
「さゆりさんとおつぼねって、めちゃくちゃ付き合い長いんですよね?」
恵美が不安そうに尋ねる。
「うん。10年位前から一緒。その頃から鈴木さんは高圧的だよ。昔は『熱心な人』で済まされていた部分があったけど、今はもう……」
私は言葉を濁した。今の時代、それは単なる熱心では済まされない。あれは明らかにパワハラだ。
でも、彼女は昔から全く変わらない。いや、むしろ、自分が店の古株になり、誰も逆らわなくなったことで、その高圧的な気質に拍車がかかっている気がする。店内がいい雰囲気でスタッフ同士で笑いあっていても、おつぼねの姿が見えると一瞬で皆の笑顔が消える。そんな職場、絶対におかしい。
「このままだと、また誰か辞めちゃうよな…」
私は誰にも聞こえないように、小さくそう呟いた。この予感が、すぐに現実のものになるとは、その時の私はまだ知らなかった。
あとがき:声を上げられない葛藤
物語の始まりは、誰もが抱える「職場での小さな我慢」から。「おつぼね」の理不尽は日常を侵食していますが、さゆりはまだ静観する立場です。彼女が大切にしているのは、娘と夫と築いた穏やかな家庭。
この「守りたい日常」と「正したい理不尽」の間の葛藤こそが、この物語の推進力となりそうですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

