「大腸がんのステージ別余命・生存率」はご存知ですか?【医師解説】

「大腸がんのステージ別余命・生存率」はご存知ですか?【医師解説】

大腸がんのステージ別生存率・余命とは?メディカルドック監修医が解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「大腸がん」を発症し「ストーマ(人工肛門)」をつけた場合の余命はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

齋藤 雄佑

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)

日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は消化器外科、消化器内科、産業医を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、永仁会病院に勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

「大腸がん」とは?

大腸がんは、早期発見・早期治療が重要ですが、がんができる場所や進行具合により手術でストーマ(人工肛門)が必要になることがあります。ストーマを造設すると、生活に大きな変化が生じるため、余命や今後の生活について不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、大腸がんとストーマについて、ステージ別の生存率やストーマ造設後の注意点などを詳しく解説します。

大腸がんのステージ別の余命・生存率

がん情報サービスのがん統計2015年の5年生存率を用いて解説します。

大腸がん・ステージ0の余命・生存率

ステージ0は、がんが粘膜内にとどまっている状態で早期大腸がんとされます。この段階で発見されれば、内視鏡手術で完全に切除できる可能性が高く、5年生存率は集計されていませんが、ステージⅠ以上の非常に高い生存率が予想できます。

大腸がん・ステージ1の余命・生存率

ステージⅠは、がんが固有筋層までにとどまるものです。早期大腸がんと進行がんのどちらかの状態です。深達度はT1a(癌が粘膜下層までにとどまり、浸潤距離が1000μm未満)とT1b(癌が粘膜下層までにとどまり、浸潤距離が1000μm以上)、T2に分けられます。T1b以深になると転移する可能性が出てくるため、内視鏡治療ではなく手術の適応となります。この段階でも、手術で完全に切除できる可能性が高く、5年生存率は92.3%です。ステージ0との違いは、がんの浸潤の深さです。

大腸がん・ステージ2の余命・生存率

ステージⅡは、がんが固有筋層を越えて浸潤している進行大腸がんの状態です。この段階では、リンパ節転移のリスクが高まるため、基本的に手術でがんを切除します。5年生存率は86.1%です。ステージ1との違いは、がんの浸潤の深さです。

大腸がん・ステージ3の余命・生存率

ステージⅢは、深達度にかかわらずリンパ節転移がある状態です。この段階では、手術に加えて、抗がん剤治療や放射線治療が必要になることがあります。5年生存率は76.0%です。ステージ2との違いは、リンパ節転移の有無です。

大腸がん・ステージ4の余命・生存率

ステージ4は、遠隔転移がある状態です。転移巣が手術可能な場合は根治を目指した手術を行うこともありますが、転移巣の切除が難しい場合、根治は難しく、治療はがんの進行を抑える抗がん剤治療や、症状を緩和することを目的とした放射線療法、緩和医療を選択します。5年生存率は18.4%です。ステージ3との違いは、遠隔転移の有無です。

配信元: Medical DOC

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