「質疑ゼロ」の30秒会見
石破内閣で初入閣した三原じゅん子内閣府特命担当大臣(こども政策、少子化対策など)の閣議後記者会見が、異例の事態で幕を閉じました。年間予算約7.3兆円を抱えるこども家庭庁のトップが臨んだ会見は、「報告なし・質問なし」のまま、わずか約30~37秒で終了。苦笑いを浮かべながら会見場を後にする三原氏の姿に、SNS上では「税金の無駄遣い」「省庁解体を」と、国民の怒りが爆発しています。
問題となったのは、2025年10月17日午前の閣議後記者会見です。この日、こども家庭庁からの発表案件は一切なく、三原大臣は冒頭で「私からご報告は特にございません」と短く述べました。
その後、「質問はいかがでしょうか」と促したにもかかわらず、幹事社を含む記者団から一切の挙手がなく、質疑応答はゼロ。そのまま会見は約30秒から37秒という異例の短時間で打ち切られました。三原氏の閣議後会見としては初の「報告なし・質問なし」事例で、その異様な空気感はすぐに報道を通じて拡散しました。
直近の10月14日の会見でも報告はなく、質問は靖国神社参拝に関する1件のみでした。児童虐待防止や少子化対策といった「危機的な状況」の課題に取り組む省庁のトップでありながら、具体的な進捗報告がない点が、国民の不信感を募らせています。
問われるこども家庭庁の「司令塔」機能
こども家庭庁は、2023年4月に「こどもまんなか社会」の実現を掲げて発足したばかりの新しい組織です。少子化、児童虐待、貧困など、省庁の垣根を越えて複雑に絡み合う課題に対応する「司令塔」としての役割が期待されていました。しかし、発足から1年半が経過しても、具体的な成果や進捗が見えにくいという指摘は以前からありました。今回の「報告なし」会見は、その司令塔機能が果たして正常に機能しているのか、国民に大きな疑問を抱かせる結果となりました。
特に、待ったなしの課題である少子化対策や、深刻化する児童虐待問題など、国民の関心が高いテーマについて具体的な報告がなかったことは、批判の的となっています。巨額の予算が投じられているにもかかわらず、政策が前に進んでいる実感を得られない国民の不満が、三原大臣個人への批判だけでなく、組織そのものの存在意義を問う声へとつながっているのです。

