ウイルス性と聞くと心配になるのが、感染経路やどんな経過を辿るのかということではないでしょうか。知っておくと心構えができることでしょう。
ここでは、C型肝炎の検査を受ける時期や検査方法について紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「C型肝炎」の症状・感染経路はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
C型肝炎の診断方法と治療方法

C型肝炎の検査方法が知りたいです。
C型肝炎は主に血液検査でHCV抗体が陽性かどうか調べます。これは数ml採血するだけで終わる簡単な検査で、健康診断の血液検査に合わせて行われていることが多いです。そのため、社会人になって健康診断を受けた方の中にはすでに検査をしてもらったという方も多いかもしれません。HCV抗体が陽性と判断された場合、さらに「現時点でHCV感染者となっている方」と「過去にHCV感染者だったがすでに治っている方」の2パターンに分けられます。この2パターンを区別するため、さらに核酸増幅検査(NAT)を行って治療が必要かどうかの診断を実施するのです。
C型肝炎と診断される基準値を教えてください。
C型肝炎である(または感染していたがすでに治った)方と診断される基準値は、血液中のHCV抗体が0.0~0.9C.O.Iの範囲です。この基準を超える値が出ると、C型肝炎に感染しているとされ、さらにNATなどの検査を行います。
検査はいつ受けてもいいですか?
検査は、いつ受けても大丈夫です。C型肝炎かどうかを調べる血液検査は、ほとんどの病院や診療所で受けられる検査ですし、各自治体が行っている住民検診(40歳以上の方が対象)でも、C型肝炎の血液検査を受けることができます。企業の福利厚生の一環として行われる健康診断の項目にも含まれる場合があるため、もしかすると受けたことがある方もいらっしゃるかもしれません。本来は「一生に一度は検査を受けていたほうが良い」とされています。そのため、まだ一度もC型肝炎の検査を受けていないのであれば受けたほうが良いでしょう。特にご家族にHCV陽性者がいる場合は検査を受けるのが望ましいとされています。
どのような治療を行いますか?
治療は、大きく分けて2つあります。ウイルスの働きを弱めて最終的に駆除を図る「抗ウイルス療法」と、肝臓が線維化しないようにする「肝庇護療法」の2通りです。どちらの治療法が取られるかは、C型肝炎の進行度・年齢・抗ウイルス療法が可能な体質かどうかによって判断されます。ほとんどの場合、抗ウイルス療法でHCVを駆除して根治する方向で進められます。抗ウイルス療法で主に行われているのは、インターフェロンという注射薬を用いる「インターフェロン療法」と飲み薬だけの「インターフェロンフリー療法」の2種類です。インターフェロンは副作用が出ることが多いとされているため、現在では副作用の少ないインターフェロンフリー療法が優先的に用いられています。
どちらの治療法も適応できない、もしくは肝がんのリスクが非常に高い状態まで進行している場合は肝庇護療法です。内服薬や注射薬で肝機能をなるべく正常に保つことで、症状が進行し肝臓が線維化するのを抑えます。
治療を受けなくても治りますか?
治療が必要なのは肝障害が起きている方です。感染初期にはご自身の免疫反応によってウイルスが自然になくなる可能性もあります。しかし、数十年後に肝機能障害を引き起こす可能性もあるのです。実際に、感染していると診断された時に無症状だった方の約6割~8割は、その後慢性肝炎に移行するといわれています。そのため、無症状だったとしても定期的な検診は必要になるでしょう。
編集部まとめ

現在、日本ではC型肝炎にかかっている方が約100万人ほどいると考えられています。感染経路がわかっているケースはあまり多くありません。
そのため、どんな方であっても一度はC型肝炎の検査を受けることを推奨されています。検査自体は血液検査だけなので比較的容易です。
すぐ近くに感染者がいても、感染経路は血液だけなので、日常生活を共に過ごしていても感染することはありません。過度な心配はしないようにするのが大切です。
参考文献
C型肝炎(肝炎情報センター)

