
「君は気にしなくていい」と言うなら、いちいち言わなくていいのに…と妻が心でつぶやく。その目の前にいる夫は、朝食で出している2人分のバターを、すべて自分のトーストに塗ってしまう男だった。夫婦関係が破綻寸前なのは、10年前に4歳だった娘が行方不明になった日から――。
SNSで連載中の話題の漫画『仮門』は、10年前に起こった女児失踪事件を読者とともに追っていく犯人予想漫画である。本作を描く漫画家の鳩ヶ森さん(@hatogamori)に話を聞いた。
■「食いつくし系夫」から着想を得た朝食のバター



『仮門』の第1話では不気味な行動を取る父親が描かれ、続く第2話で母親の友人、第3話で当時4歳だった娘の幼なじみ2人に焦点が当てられる。第4話では、新たなキャラクターも登場し、誰もが腹に一物抱えたような表情を浮かべ、読者に疑念を深めさせている。
漫画の冒頭で描かれる“夫”の描き方が秀逸だと指摘すると、鳩ヶ森さんは、少し前にSNSで話題になった「食いつくし系夫」から着想を得たという。
「家族4人分の餃子をほとんどたいらげてしまった」「食いつくされないように冷蔵庫に鍵をかけたら破壊しようとした」など、信じられないエピソードがたくさん報告されていたことに触れ、「もはやこれは現代の妖怪譚なんじゃないか、いつか漫画に描けたらよいなと企んでいた」と明かした。
■夫は「妻の食べ物」に意識が向かない男
“2人分のバターを平気で使い切ってしまう”エピソードについて、鳩ヶ森さんは、「本作に登場する“夫”は食いつくし系ではなく単に『気が利かない男』だが、根は同じだと思っている」と語る。
それは、「妻の食べ物」に意識が向かない男だということだ。「妻も自分と同じように腹が空くし食べる人間なのだ、という当たり前の前提が脳から抜け落ちている。こういうタイプの男性を描こうとしたときに頭に浮かんだのが“朝食のバター”だった」と、夫の描写の裏側を説明した。
■解決編に向かう前に「犯人を推理してみて」
第4話で新たなキャラクターが登場したが、これで役者は全員そろったのか尋ねると、鳩ヶ森さんは、「あともうひとり、未登場のキャラクターがいる。麻衣の過去に関わる人物だ」と明かした。その人物を登場させてから、ストーリーは解決編に向かうという。
鳩ヶ森さんは、読者に「解決編に移行する前に、犯人を推理してみて」と呼びかけている。
第4話で新たなキャラが登場し、物語が大きく盛り上がりを見せてきた本作。それぞれの登場人物の動きや心情を注意深く観察し、犯人や動機を予想するのがよい。女児失踪事件から10年の歳月が流れた今、これから何かが動きだしていく展開に注目だ。
鳩ヶ森さんは、「呪いは効くのでしょうか」や「春の夜の友人」などの過去作も多数輩出しているため、そちらもぜひ読んでみて。
取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)
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