軽度認知障害の主な原因
MCIと関連のある病気や状態には、以下のようなものがあると考えられています。
アルツハイマー病
アルツハイマー病は、認知症を引き起こす原因の多くを占めています。MCIの原因としても、約5割を占めるといわれています。
そのほかにも、レビー小体病など認知症の原因となる疾患もMCIの背景となりえます。
慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症
さまざまな脳の疾患も、MCIの背景となっている可能性があります。
慢性硬膜下血腫は、脳を覆っている硬膜と脳の間にゆっくりと血がたまる病気です。出血が脳を圧迫することで、頭痛やふらつき、認知症のような症状を引き起こすことがあります。
また、正常圧水頭症という病気でも、認知症に似た症状が現れる場合があります。ただし、これらの脳の病気を治療することで、認知症のような症状も改善することが期待できます。
生活習慣病
糖尿病や高血圧、肥満、メタボリックシンドロームといった生活習慣病は、認知症になるリスクを高めます。また、脳卒中や脂質異常症と認知症も同様です。
特に、45〜64歳の中年期の方の場合、これらの病気は全て認知症の危険性を高めます。一方、高血圧と肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症は、65歳以上の高齢の方の場合には必ずしも認知症のリスクを高めるかどうか明らかでない部分もあります。
ただし、短絡的に、高齢の方であれば高血圧や、肥満、脂質異常症であっても問題はない、と考えることは避けましょう。
軽度認知障害になりやすい人の特徴
MCIになりやすい方の特徴としては、以下のようなものが考えられています。
血糖値が高い
血糖値が高いままになってしまう病気、すなわち糖尿病の方では、特に高齢の方で認知症になりやすくなるといわれています。糖尿病の方は、そうでない方と比較して約2倍認知症になりやすいという研究データもあります。
健康診断などで、血糖値が高いといわれた場合は放置しないようにしましょう。生活習慣の改善や、場合によっては糖尿病専門医の受診をし、適切な血糖値を保つようにすることが大切です。
血圧が高い
中年期に高血圧を有する方は、高齢期になってからアルツハイマー型認知症や血管性認知症になるリスクが高くなることが知られています。高血圧は、MCIや認知症のみでなく、脳梗塞などの脳血管障害のリスクも高めます。健康診断で高血圧と指摘された際には、かかりつけ医や内科の受診をするようにしましょう。
日常生活では、減塩を心がけることも大切です。高血圧の方の場合には、食塩摂取量として1日6g未満が減塩目標としてすすめられています。これは、小さじ約1杯分の量です。
太っている
中年期で肥満の方は、認知症になりやすくなります。なお、日本人の場合には体格指数(BMI:体重/身長の2乗)が25以上の方を肥満と定義しています。また、腹部の脂肪の量を示す腹囲では、男性85cm、女性90cm以上の場合は、腹部肥満が疑われます。
ただし、高齢の方では、急激な体重減少によって認知症が発症しやすくなることが示唆されています。BMIが20未満の方は医学的には痩せと判断されます。さらに、2年間でBMIが5%以上減少した方も、認知症になりやすくなる可能性があります。そのため、特に高齢の方の場合には、体重の変化を日々記録しておくことも大切です。
体重を適切に管理するためには、バランスの良い食事を1日3回とる、週3回以上の有酸素運動を行うなどの適度な運動が重要です。

