
Instagramやライブドアブログで実話ベースのエッセイ漫画を描く漫画家のゆっぺさん(@yuppe2)。ブログは2021年に月間3000万PVを記録し、「ライブドアブログ OF THE YEAR 2021」最優秀グランプリを受賞。2021年12月から執筆した『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』では、戦前から生きる祖母・キヨさんの幼少期からの実体験を漫画化。最終話では、コメント欄を解放したことで500件以上の熱い応援コメントが寄せられた。
92歳の祖母・キヨさんの半生を漫画化するまでには、「家族の苦労話でお金儲けしていると勘違いされてしまったら嫌だな」と1年ほど悩んだこともあるという。今回は、『親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話』の制作過程と、作業時のゆっぺさんの心境に迫る。
■「口を挟まずに聞く」…壮絶な体験を時系列に整理



作者のゆっぺさんは、祖母から事前にすべての話を聞いていたわけではなく、どんな展開になるのかは作者自身もわからぬまま描いていたという。話を聞く際は、一度に2〜3時間ほど聞き、それを数回分に分けて綴っていく。しかし、「おばあちゃんの話は飛んだり、重複してしまったりするので、ノートに書き込んだ内容を時系列に並べ直してつなげるのが大変でした」と振り返る。
ゆっぺさんが話を聞く際に気を付けていたことは、「おばあちゃんが言いたいことを全部吐き出すまで、私が一切口を挟まずに聞くことです」と話す。また、描く際には、少しでもかっこよく描いてしまうと祖母の話ではなくなってしまうため、自分の主観を排除し、祖母の言葉を忠実に再現することを意識したそうだ。
■「描かなくてはならない」という覚悟
ゆっぺさんは、祖母の今の気持ちを伝えたいと考えていたが、漫画で過去を忠実に描くことについて「家族の苦労話でお金儲けしていると勘違いされてしまったら嫌だなと思い、最初は躊躇しました」と振り返る。しかし、戦争の話を語れる人が減っている現状を考え、貴重な話を作品にすることを決意した。祖母も最初は語りたがらなかったものの、漫画化の話を伝えると「いいよ」と承諾してくれたため、形にすることにした。
ゆっぺさんは感情を込めて描くタイプで、キヨさんが泣いている場面を描くときは自分も泣いたり、怒ったりしながら描いていた。しかし、祖母から聞いたこと以上はわからないため、「必要以上に悪く描こうという気持ちも、逆によく見せようと気持ちもなく、聞いたままに描くことを心掛けました」と語った。
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