AGA(男性型脱毛症)は多くの男性が悩んでいる問題です。最近では医療技術が進化したことにより、これまでは治療法がなかった症状でも改善が期待できるようになりました。今回はAGAの治療法にはどのようなものがあるのか、東京メモリアルクリニックの栁澤先生に教えてもらいました。

監修医師:
栁澤 正之(東京メモリアルクリニック)
2006年3月北里大学医学部卒業。2008年4月同大学形成外科・美容外科教室入局。2015年4月日本形成外科学会認定医取得。2018年4月慶應義塾大学医学部形成外科学特任助教(2020年退任)。2020年4月東京メモリアルクリニック院長就任、2022年11月第27回日本臨床毛髪学会学会長。医学博士、日本形成外科学会認定医、日本臨床毛髪学会会員、日本美容外科学会(JSAPS)会員、日本再生医療学会会員、日本熱傷学会会員。
編集部
AGAは治療することができるのですか?
栁澤先生
はい。AGAは医療機関において治療をすることができます。AGAは進行性の脱毛症であるため、できるだけ早期に治療を開始した方が、治りが良いことがわかっています。
編集部
どのような治療法がありますか?
栁澤先生
まずはAGAの進行を抑制し、髪の毛を増やす治療法として内服薬があります。たとえば日本の厚生労働省やアメリカのFDA(医薬品管理局)にも認められている薬剤に、フィナステリドというものがあります。これはAGAの原因となるDHTが作られるのを抑制し、薄毛を改善する働きがあります。
編集部
フィナステリドは薄毛の進行を止めるだけでなく、薄毛を改善する効果もあるのですか?
栁澤先生
はい。進行を止めるだけでなく、太くしっかりとした髪の毛を増やし、薄毛を改善する効果が期待できます。
編集部
そのほかにはどのような治療薬がありますか?
栁澤先生
同じく、DHTの生成を抑制する薬にデュタステリドがあります。一般に、フィナステリドよりもデュタステリドの方が、効果の持続期間が長く、発毛効果も高いとされており、研究によりデュタステリドの方がフィナステリドの1.6倍効果が高いことがわかっています。しかしその分、薬価も高額であるため、予算を含めて検討する必要があります。
編集部
副作用として男性機能の低下を心配する方も多いのですが、実際はどうなのですか?
栁澤先生
患者さんでもそのように心配されている方も大勢いらっしゃいます。しかし、さまざまな研究が行われており、現在では「男性機能の低下は薬の影響ではない」と考えられています。男性機能の低下は、思い込みと老化によるものではないかと考えるのが定説です。
編集部
内服薬のほかには、どのような治療法がありますか?
栁澤先生
頭皮へ直接塗布する治療法もあります。たとえばミノキシジルは液状の塗り薬で、病院で処方される薬のほか、市販薬もあるのでなじみのある人も多いのではと思います。もともと高血圧の患者さんが血圧を下げるために使用していた薬ですが、臨床実験を行っているとき、多毛症の副作用が報告されたことにより、現在ではAGA治療にも用いられています。
※この記事はMedical DOCにて<【アップデート】AGA治療の今 事実と異なる定説や推奨されない治療も明確に>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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