卵巣がんの再発率

卵巣がんは再発しやすいがんとしても知られます。初回の治療で画像上がんが消えたように見えても、残念ながら半数以上の症例で再発・転移が起こるとされています。特に進行期III期・IV期の患者さんでは注意が必要で、治療後2年以内に約55%が再発し、5年以内には70%以上が再発するとのデータもあります。
卵巣がんの主な治療法

卵巣がんの治療は手術を中心に、必要に応じて薬物療法を組み合わせるのが基本です。卵巣がんではまず手術で可能な限り腫瘍を取り除き、その後に再発リスクを減らすため術後化学療法を行うのが標準的な流れになります。場合によっては手術の前に抗がん剤で腫瘍を小さくする術前化学療法を行い、その後手術をすることも検討されます。放射線治療は卵巣がんでは初回治療としては通常用いませんが、再発時の症状緩和などに局所的に使われることがあります。以下に主要な治療法を解説します。
手術療法
手術療法は卵巣がん治療の柱となります。開腹手術により、卵巣や子宮などの病変部位を切除してがんを取り除きます。卵巣がんは画像検査だけでは病期を正確に判断しにくいため、開腹して病変を確認・切除することでステージを決めます。
放射線療法
放射線療法は高エネルギーの放射線をあててがん細胞を死滅させる治療ですが、卵巣がんの場合初回治療として行われることは通常ありません。これは、卵巣がんがお腹の中に広く散らばる性質があるため、放射線を当てる範囲が広くなってしまい、副作用が強く出てしまうからです。その代わり、卵巣がんでは全身に作用する抗がん剤治療が優先されます。ただし、再発時や症状緩和目的で放射線療法が用いられる場合はあります。
薬物療法
薬物療法とは抗がん剤など薬による治療のことで、主に化学療法と、近年では分子標的薬やホルモン療法なども含まれます。卵巣がんは進行して見つかることが多く、また早期であっても再発しやすい性質がありますが、一方で漿液性がんに代表されるように抗がん剤が効きやすいタイプのがんでもあります。そのため、卵巣がん治療では多くの場合に手術後に抗がん剤治療を行うことが標準となっています。

