「呼吸機能検査の見方」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「呼吸機能検査の見方」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
呼吸機能検査の基準値はどれくらいが正常ですか?
木村 香菜 医師
呼吸機能検査の基準値は年齢、性別、身長などによって異なりますが、一般的に努力肺活量(FVC)の予測値の80%以上が正常とされています。また、1秒率(FEV1/FVC比)は70%以上が正常範囲です。個人の状況によるため、医師が検査結果を総合的に評価します。
呼吸機能検査の数値が低い場合はどうすれば改善できるのですか?
木村 香菜 医師
呼吸機能検査の数値が低い場合、呼吸リハビリテーションや運動療法、禁煙の推奨などが行われることが多いです。呼吸器疾患が原因であれば、医師と相談の上で薬物療法や気道を拡げる治療が検討されます。日常生活の中で適切な呼吸法を学ぶことで、呼吸機能の向上がある程度は期待できます。
呼吸機能検査の肺活量や1秒率の数値の測り方を教えてください。
木村 香菜 医師
肺活量や1秒率は、スパイロメトリーという機器を使用して測定します。検査では、患者さんが息を大きく吸い込み、できるだけ強く、速く息を吐き出します。この際、肺全体の空気量(肺活量)と、1秒間で吐き出した空気量(1秒量)が測定されます。これらのデータから1秒率(FEV1/FVC比)が算出され、呼吸機能の健康状態を評価します。
呼吸機能検査では肺の健康状態・肺年齢がわかるのですか?
木村 香菜 医師
はい、呼吸機能検査では、肺の健康状態や「肺年齢」を知ることができます。肺年齢は、検査結果を基に算出され、健康な人の平均的な数値と比較することで推定されます。肺年齢が実年齢より高い場合は、喫煙や慢性的な呼吸器疾患が影響していることがあるため、改善が必要な場合があります。
スパイロメトリーと呼吸機能検査は別の検査ですか?
木村 香菜 医師
スパイロメトリーは呼吸機能検査の一種であり、最も一般的な方法です。呼吸機能検査にはスパイロメトリー以外にも、肺拡散能検査や気道抵抗検査などがあり、それぞれ目的や評価項目が異なります。スパイロメトリーは特に気道の狭さや肺の容量を評価するために用いられます。
まとめ 呼吸機能検査の結果の正しい見方を知ろう
呼吸機能検査は、肺や気道の健康状態を総合的に評価できる重要な検査です。特に、スパイロメトリーを用いた測定では、呼吸機能に関わるさまざまなデータが得られ、基準値や正常値と比較して、疾患の有無や進行具合を評価することができます。また、この検査により、COPD、喘息、肺線維症、肺気腫、じん肺などの代表的な呼吸器疾患を早期に発見し、適切な治療を受けるための大切な指標となります。
呼吸機能検査の数値が低い場合も、リハビリや日常生活での呼吸法の改善、禁煙などの取り組みにより、呼吸機能の向上が期待できます。特に、肺年齢を知ることで、自身の呼吸機能の状態と照らし合わせながら理解し、健康意識を高めるきっかけにもなるでしょう。
呼吸機能検査の検査結果を通じて自身の健康状態を把握し、必要な場合には適切な治療や生活改善の方法を見つけていきましょう。

