現在は、医療技術の進化により「乳児の赤あざは、できるだけ小さいうちに治療をおこなった方がいい」とする考えが普及しています。今回は赤あざの治療法について、「よしクリニック」の中野先生に解説していただきました。

監修医師:
中野 貴光(よしクリニック)
筑波大学医学群卒業。その後、東京女子医科大学病院、都立府中病院(現・多摩総合医療センター)、日本大学医学部附属板橋病院、東京都立豊島病院、川口市立医療センターなどで形成外科医として経験を積む。2019年、東京都練馬区に「よしクリニック」を開院。医学博士。日本形成外科学会形成外科専門医・小児形成外科分野指導医、日本熱傷学会専門医、日本レーザー医学会専門医、日本手外科学会専門医。日本美容外科学会(JSAPS)、日本抗加齢医学会の各会員。
編集部
赤あざは、どのように治療するのでしょうか?
中野先生
基本的に、赤あざに対してはいちご状血管腫も単純性血管腫もレーザー治療が有効です。レーザーを照射する医療機器には様々な種類がありますが、赤あざには色素レーザー(Vビームレーザー)を用います。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
中野先生
色素レーザー治療では、血液に含まれている「ヘモグロビン」という色素をターゲットにしてレーザーを照射します。レーザーが血管を流れる赤血球の中の酸化ヘモグロビンに選択的に吸収されることで、血液が熱くなり、皮膚表面で増殖した過剰な血管にダメージを与えて閉塞させていきます。
編集部
一度で治療効果がみられるのですか?
中野先生
1回でも効果が出ることもありますが、血管の深さ、太さ、流れる血液の速さなど色々な条件があるため、設定を少しずつ変えながら複数回の治療をおこなう必要があります。特に、いちご状血管腫には増殖期があり、毛細血管の増殖とレーザーによる血管の閉塞が同時に進むという、いわば綱引きのような状態になります。レーザー治療をおこなっていても増大や潰瘍化を起こすことはありますが、治療を繰り返すことで拡大を抑制でき、色が次第に落ち着くことが期待できます。
編集部
どれくらいの頻度で治療をおこなうのですか?
中野先生
保険治療でのレーザー照射は、基本的に3カ月以上の期間を空ける必要があります。
編集部
治療は何回受ければいいのでしょうか?
中野先生
おおむね3〜5回くらい照射するケースが多いですね。赤あざの場合、保険治療に回数の制限がないことと、少しずつ薄くなりますが、完全には消えないこともあるので、お父さんやお母さんが納得するまで複数回の治療をおこなうことが多くなります。
※この記事はMedical DOCにて<乳児の赤あざ「放置でOK」は時代遅れ? 早めに治療すべきワケを医師が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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